初めての実習生② -実習生登場!

中堅医療ソーシャルワーカーのシンペーにもついに実習生を受け持つ日がやってきました。「ベテランとしての実力を見せつけるチャ~ンス!」なんて本来ならワクワクするところなのですが、私はそんな事は致しません。え?それはシンペーが謙虚だからだって?ま~そうなんですけど、いや違うんですよ。それよりも私の頭の中は実習生をガッカリさせてしまわないか、大失敗をしでかさないか(私が)、そして大学からクレームが来ないかっていう心配で一杯です。こんな不安の嵐が渦巻いてしまうのは、そう、それはすべて担当する実習生のせいなのだ(なんでそうなる!?)。


なぜ実習直前になって私が不安の渦に巻き込まれてしまったかと言うと、それはどんな実習生がやってくるのか事前に知っていたからなのです。そもそも病院での実習を希望する学生たちは、病院のSWリーダー及び実習担当ワーカーとの「面接」を受けなければいけません。私、この面接ってただ単に本人の学習目標や実習スケジュールをカジュアルに話し合うものだと思っていたのですが、とんでもない!SWリーダーが持ってきた面接マニュアルのそれはまさに就職面接そのもの!「なぜ医療ソーシャルワークに興味があるのか?」「どんなソーシャルワーク理論を実践に活用しているのか?するつもりか?」「チームワークに大切なものはなにか?」「クライアントとの関係づくりに必要なものはなにか?」「過去どんな困難なケースに出会い、どう対処したか?」などなど、実際に経験したケースを例にあげながら質問に答えなければいけなかったり、あとケースシナリオなんかも出されてそれにも答えなければいけません。そしてこの面接結果を元に実習受け入れの合否が決まります。とくに実習希望者が受入数よりも多い場合や、希望者の回答が基準を満たさなかった場合には不合格なることもあるそうです。さらに実習生のほとんどが実習後にはそのまま病院で内定をもらえる事を考えれば、まさにこれは真剣勝負の面接と言えるのです。


でもさ~これってまだ学部生の生徒達には酷だよな~と私は思ってしまいます。たしかに学部3年次に学生たちは一度NPOなどで実習はしているけれど、それでも上記の面接に使えるようなケースをもってる学生たちはまだまだ多くないよね。おまけ私にだってまともに答えられない専門的な質問も結構あるしさ~(ってシンペーはベテランソーシャルワーカーじゃなかったのか!?)、って具合に私でさえ答えに窮してしまう数々の質問を読みながら私も学生の気持ちに共感してハラハラ・ドキドキ・冷や汗タラタラしていたのでした。


な~んて学生の心配をしていたのに、ふたを開けてみたら面接相手のS君、私の斜め上を行く素晴らし回答でさらさらと質問に答えていき瞬く間に合格点達成!なんかこの子すごい賢いんじゃね?そして、あ、あきらかに私が実習生だった時とは一回りも二回りも違う・・・と早くも感銘を受けると共に、動揺も受けたのでした(もちろん動揺の方が大きい 笑)。


さーそんなS君がいよいよ実習生として職場に登場!


このS君は20代後半くらいの好青年(私と同じだね!)で、ソーシャルワークを学ぶ前は自殺予防団体、日本の「いのちの電話」のようなNPOで働いていました。かつてはITを大学で学んでいたものの、友人の自殺を機にソーシャルワークの分野に興味を持ったとの事。社会経験もあり、外交的な性格の持ち主なので、同僚ソーシャルワーカー、職場チームメンバー、そして患者さんとのコミュニケーションにも物おじせず大したものです!私が学部実習生だった時はまさに真逆で、社会経験ゼロ、内向的で人見知り、おまけに英語力も???で誰と話すのにもドキドキ・オドオドでした(笑)、っていうか今も知らない人と話すときはドキドキする。さらにS君、分からないこと、疑問に思ったこと、おかしいと思ったことに対しては恐れず質問をどんどんしてきます。おまけに質問もなかなか良い点をついているのです。これは大変すばらしい!


質問をするということはいろんな意味で本当に大切です。私が質問をすることの重要性をまず知ったのはカナダでの就職活動の時でした。自慢じゃないんですが(っていう自慢です!)、私いままでカナダで受けた就職面接で落ちたことが一度もないんです。あ、面接はうまくいってその後の身元照会で落ちたことは一度会ったけど(それも院生の時の実習担当者のせいで・・・ムキキ 怒)。なぜ面接がうまくできたのか、それは多分「質問をした」からだと思います。だいたい面接って一通りの質問が終わった後に面接者から「なにか仕事や会社に関しての質問はありますか?」って聞かれますよね。まさにここがチャンス!ここで相手に対してどんな質問をするかで、私のやる気や能力を最大限アピールできるのです!って事をかつて先輩SWから教わり、それを実践したらうまくいきましたって感じです。さらにソーシャルワーカーとして働く中で学んだ事として、質問は会話の裾を広げ、患者さんをより良く知るために役立つどころか、患者さんとの信頼関係づくりにも大いに役立つという事。なぜなら質問をするということは、相手に「私はあなたに興味があるんですよ」って思わせる効果があるから。あ、もしかして当たり前の事を私はいま偉そうに言っている?(笑)でも私はこれ大学卒業するまで気が付かなかったんです。だから質問の大切さを学んでからは、苦手だった知らない人と話すのもだいぶ得意になりました。かつては沈黙が怖くて「どうしよう、どうしよう」と知らない人との会話を恐れていたのですが、質問する事さえ覚えてしまえば、沈黙になったときには例のWhat, when, where, who, why, howを使って会話を持たせれば(広げれば?)大丈夫だもんね~って感じになりました(ま~知らない患者さんとの会話には相変わらずドキドキするけどさ)。


そんな訳で、私は出だしから質問上手なこのS君に一目も二目も置くようになったのです。おまけにS君思った通り賢くて、物覚えがいいんです。だいたいの事は一度聞けば出来るし、何事にも積極的に取り組む姿勢も学習スピードに拍車をかけています。最初は、実習開始2か月目くらいから徐々に患者さんを担当してもらおうかな~なんて考えていたのですが、実習開始から3週目には「患者さんを担当させてください!」と猛アピール。す、すごい、凄すぎる・・・私は面食らってしまいました。私が学部実習生の時なんて(また出た~!)、患者さんの担当なんて怖くて怖くて、2か月たって担当教官から「シンペーもそろそろ患者さん担当してみようか~?」って言われても「あの、あの、あともう一か月だけシャドーイング(意味:担当教官の後ろを犬のようについて回って教官と患者さんとのやり取りを観察して学ぶこと)させてください」と懇願し、でも結局担当教官から「いつまでも怖がっていたら経験つめないよ」と言われて泣く泣く一番簡単(?)な患者さんを担当させてもらったものです。そんなダメダメ実習生だった当時の記憶と今目の前にいる優等実習生S君の実力とのギャップに混乱に陥るシンペー。そんなS君が私のシャドーイングにつく時の緊張と言ったら皆さん想像できますか?笑


と言う事で、次回はこの実習生からのプレッシャーにシンペーがどう立ち向かったのか!?についてお話したいと思います。


つづく


カナダでソーシャルワーカー Social Work in Canada

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