雨のVictoria Day
今週末は連休です。Victoria Dayと呼ばれ、イギリスのビクトリア女王の誕生日をお祝いする日らしい(でも御本家イギリスでは休日じゃないみたいだけど・・・昔の女王だから?)。そんなビクトリアの日・・・雨ですよ(涙)。せっかくの連休なのに昨日も曇り雨だったし、チッ!とイラつく私。連休なのにイラついでどうするんだ!なんか気分転換しないとな〜。
とりあえずいつものようにジムに行き、最近マイブームのパンを焼き(今日はクリームパン)、そしてボーっとYoutubeなんか見ながら過ごしているんですけど、これじゃいつもの週末となんら変化なく、面白くね〜。バンクーバーは今週末から野外プールが解禁となり、行ってみようかな〜と思っているのですが、今日は雨だし気温は11C。こんな日に野外プールに泳ぎに行ったら凍え死ぬ。他になんかやることないかな〜と考えてみたら、あっ!あった、あった。やろうと思ってずっと忘れてた事が。
私のソーシャルワーク学部生時代の同級生がカナダのサスカチュワン州ってところに住んでいるんですが、自分で言うのもなんですが、私この同級生I君には大変な恩を売ったんですよ(なんか変な日本語 笑)。むか〜し、むか〜し、私と共に学部を卒業したI君はサスカチュワン州で児童保護の仕事に就きました。子供を守りたい!と素晴らしい使命に燃えて職についたI君なのですが、なかなか思ように虐待児を救えません。そんな厳しい現実に、少しずつI君は疲弊し、ついにある日燃え尽きてしまいます。その当時、私はベトナムのハノイで国際協力の仕事をやり始めたばかりだったのですが、突然I君からSOSのメールが。「もうやってられない。頭がおかしくなりそうだ。どっかに逃げたい。ベトナムに遊びに行ってもいい?1週間くらい泊まらせて!」って感じの悲痛なメッセージに私も「ありゃりゃ、こりゃ大変だ!」と思い、「じゃー気分転換に遊びに来なよ」とI君にベトナム旅行を提案したのでした。
数日後にベトナムまでやってきたI君。海外旅行は初めてなのでガッチガッチに緊張しています。「ベトナムは安全な国だから心配いらないよ。夜1人で歩いたって大丈夫なんだよ〜(原付バイクに跳ねられるのだけさえ気をつければ)」と緊張しすぎて便秘気味のI君の気持ちをなんとか解そうとするのですが、I君は私にピッタリついて、まるで犬のように私の行くところどこにでもついて行きます。そしてとうとう私の職場にまで(笑)。あらら、これは困ったな〜、仕事にならないよ、と思ったのですが、そこは賢いシンペー様(?)。「あのさ〜I君、僕の働いているNPOの職員に英語教えてみない?」と提案します。I君はカナダ生まれなので英語はもちろんネイティブ。これでI君にもやる事ができ、私も自分の仕事に集中できます。
当時、私が働いていたNPOは、ベトナム人のお爺ちゃんが経営(?)している零細NPOで職員は5人。私以外全員ベトナム人。主にHIV/AIDSの予防を目的にボランティアを30人くらい使って啓発活動なんかをやっていました。そして私の派遣目的は、このNPOの「五カ年計画作成」「財務計画作成」「新規事業の立ち上げ」そして「基金集め」をすること。ベトナム派遣前にも私はカナダのNPOで働いていたので、NPO運営に関わる大体の事は経験していたのですが、それでも五カ年計画とか財務計画なんかはハッキリ言ってソーシャルワークとは畑違い。なかなかチャレンジングで学ぶ事も多くて楽しい仕事でした。ただ、職員やボランティアの中で英語を喋れる人が少なかったので、拙いベトナム語しか喋れない私にとってコミュニケーションを取るのが序盤は最大の難関でした。そんな私の世話を焼いてくれたのがベトナム人事務員Vさんだったのです。彼女は英語が堪能で、年寄りばかりの職場で年もそんなに私と違わなかったのですぐに気が合い、色々助けて貰って楽しく仕事をさせてもらいました。
さてそんな私の職場でI君が英語を教える事になったのですが、これが職員やボランティアからバカうけ!本人もとっても嬉しそうで、いっそ英語の先生になっちゃったら?と思ってしまうほど生き生きとした表情をしています。そうしてI君も段々とベトナム生活に慣れていき、充実した日々を過ごせるようになっていきました。そしてついにI君は「あのさ〜、俺、Vさんとデートに行ってくる!」と行って自発的に出歩くようにまで成長(?)したのです。「あ〜良かった」と鬱々としていたI君が元気になる姿を見て私は安心しました(それに、これでやっと私のプライベートな時間も持てるよ!笑)。それにしてもベトナムに来て早々もうデートかよ!と私の同僚とさっそくラブラブになるI君のバイタリティーにも驚かされました(というか呆れたよ?笑)
そんなI君はVさんとデートを重ねるごとにどんどんVさんの魅力にハマっていきます。最初は1週間だけ私の家に滞在する予定だったのに、もう1ヶ月も居候してます(いい加減にしろ!笑)。そうしたある日、「Vさんと一緒にホーチミンに旅行に行ってくる!」とI君は宣言し、せっせとホテルやレストランを探しています。「ここに泊まろうと考えてるんだけど、シンペーどう思う」とホーチミンで一番お高いホテルを指差すI君。「え〜、これはやりすぎじゃね?新婚旅行にいくわけじゃないんだしさ〜。もっと普通のホテルにしとけば?」とケチな私は答えたのですが、I君の意志は変わらずホーチミンの5星ホテルを予約したのでした。それが裏目に出るとも知らず・・・
土曜夜8時の便でハノイを出発した2人。「楽しんできてね〜」とI君&Vさんを見送って、「あ〜久しぶりにやっと一人でゆっくり寝れる〜」とぐっすり眠りに着いた私。プルルルル、プルルルル、プルルルルと突然の電話で目覚めます。「う〜ん」と時計を見たらまだ午前2時。「誰だよ一体こんな時間に!!!(怒)」と思って電話を見るとなんとI君からではないですか。んんん、なんか非常事態が起きたか!?とドキッとしつつ電話に出ると「シンペー、ホテルにチェックインできないんだけど、どうすればいい?」と泣きそうな声で言うI君。「へ?なんで?」と私が聞き返すと、「5星ホテルでは、外国人とベトナム人が一緒の部屋に泊まるには結婚証明書が必要だってフロントの人に言われて、チェックインさせてくれないだよ。もうこんな時間だし、どうしよう。他に泊まれるところ探してくれ〜」と頼むI君。「わかった。じゃー今から探してみるから30分後に電話する」と言って電話を切ると、私は急いで「結婚証明書が必要ない」場末のホテル(ラブホテル?)をI君のために探し始めました。そう午前2時に!1時間かけて、やっと何件か(いかがわしい)ホテルを見つけたのでI君に電話すると、さっきとはうって変わって明るいI君の声が響きます。
「お!シンペー!どうした?え?あ〜、とりあえず部屋に入れた。フロントの人が可哀想に思ったのか今夜だけは泊めてあげるって言われてさ、どうにかチェックインした。うん、じゃー明日、シンペーが調べたホテルに行ってみるね。あ、ゴメン!電話切るわ。今ちょうどVさんがシャワー浴び終えたみたい。えへへ、じゃーね、バイバイ」って感じでブチっと電話は切られたのでした。もう勝手にやってろ!(笑)
こうして2人は正式に(?)お付き合いする事となりました。I君は私の家に2ヶ月間近くも居候した後、カナダに帰国して再び児童保護の仕事に戻ったのですが、その後もVさんとは遠距離恋愛を続け、晴れて結婚することになりました。私もベトナムでI君とVさんの結婚式に呼ばれ、「愛のキューピット」として(気持ち悪いからやめろ?)祝辞を述べさせていただきました。それから1年ほどしてVさんはカナダのビザを取り、I君の住むサスカチュワン州へと向かったのでした。私はVさんに「サスカチュワンって何もないど田舎で、冬はマイナス30°にもなるとんでもない場所だから、辛くなったらバンクーバーに移っておいで」と散々怖がらせたのですが、2人の愛のパワーのお陰か、相変わらず2人でサスカチュワン生活を楽しんでいるようです。そんな2人にも昨年子供が授かり、今や立派な(?)お父さんとお母さん。なんか感慨深いな〜。私がベトナムで2人を引き合わせたのが2010年のことだから、もう11年ですよ!月日が経つのはなんと恐ろしや。
さてここ最近、日本生活にかまけていた私は2人と疎遠になっていたのですが、私もせっかくカナダに戻ったことだし久しぶりに2人に連絡を取ってみました。Vさんはコロナのせいで、もう2年以上ベトナムには里帰りしておらず、親類もいないサスカチュワンで頑張って子育てをしています。Vさんは私に「子供が2人いるから大変だ!」と愚痴をこぼすのですが、確か子供は1人だったはず・・・あ、いや、やっぱり2人だった(赤ちゃんとI君の2人・・・笑)。そう思うと、手のかかる2人を育てつつ、もうすぐ職場復帰もするVさんは大変です。私、ベトナムにいる時にも思ったんですが、ベトナムの女性ってすごい働き者なんですよ(男は・・・?)。Vさんも例に漏れず、愚痴りながらも結構がんばっています。2人を引き合わせた私としては、なんとなく忙しいVさんに責任を感じ(っていうかI君よ!もっと家事と子育てを手伝いなさい!怒)、励ましてあげたくなって、今回お菓子を送ることを考えついたのです。と言うのも、Vさん、最近アマゾンで日本のお菓子パックを注文したらしく、それが今ひとつだったと嘆いていたので、リベンジをするが如く、今回は私がバンクーバーの日本のお店で選んだものを送ってみようと思ったのです。と言うわけで、これを送ります。
喜んでくれるといいけどな・・・・
ってな感じで、暇なビクトリアデーはお菓子を買い込むことで有意義(?)に過ごしたのでした。このブログを書きながらベトナム時代を思い出して、なんだかとっても懐かしくなってしまいました。もう少しコロナ禍がおさまってきたら、2人に会いにサスカチュワンまで行ってみようかな〜とも思っているので、この売った恩をちゃんと返してもらわないとね(笑)
おわり
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