初めての実習生① -なぜ実習生を受け持つことにしたのか

医療ソーシャルワーク業界に足を突っ込んで早10年目の今年、ついに初めてソーシャルワーク実習生を担当しましたよ。今までも実習担当に興味はあったのですが、日々の業務が忙しかったり(ホントか?)、実習期間中に長期バケーションが入っていたり(調整できるだろ!)、仕事に対する意欲が低迷してたり(しっかり働け!)で、なかなかタイミングが合わなくて実習担当する機会がありませんでした(すべて自己都合だけど 笑)。いやいや、それより何より4人のソーシャルワーカーと居候の看護師Kさん約1名(シンペーの天敵)とでシェアしてるこの狭いオフィスにもう一人実習生を加える余裕なんかない!!!って周り(Kさん)に言われて諦めていたのです。ま~実際こんな雑多なオフィスの中に実習生を放り投げるのも実習生に可哀想だしね。しかしコロナ禍において医療ソーシャルワーカーの職場環境は激変。ついに「オフィスが狭いので実習担当できませ~ん」なんて呑気に言ってられない事態に突入したのです。さてその事態とは・・・


医療ソーシャルワーカー不足!!!


現在、急速に医療ソーシャルワーカー不足がバンクーバーおよびBC州全域で進んでいます。話に聞くとこれは医療ソーシャルワーカーに限らず、看護師、薬剤師、栄養士、OT、PT、などなど多業種に及んでいるらしく、医療業界全体の問題になっています。正直どうして急に医療ソーシャルワーカーが不足したんだろう?と私は不思議に思うのです。と言うのも私が大学でソーシャルワークを学んだ頃には、ソーシャルワークを教える学校はBC州内で2校くらいしかなかったのですが、ここ10年くらいでソーシャルワークを教える学校は3倍くらいに増えました。だから求人数に対する学生数も増えてるはずなんだけどな・・・


ある説では、コロナ禍で定年退職をした職員が増加したために、急速な人手不足になったらしいです。確かにね~それはあり得るかも。とくにコロナ患者が急増中の時なんかは医療現場は危機的状況だったから、定年を目前にした、また定年を過ぎても働いていた医療従事者には退職を決意させるには十分な環境だったかもしれません。ただ私が考える「医療ソーシャルワーカーが不足している」もう一つの理由に、コロナ禍における実習中止が大きく関わっているんじゃないかと思うのです。コロナ感染が拡大した2019年からほぼ2年間、感染リスク防止のために病院実習は中止されました。つまり学生が医療ソーシャルワークを学ぶ機会がこの2年間無かったのです。にもかかわらず病院は基本的に「医療経験者」を雇いたがるため、医療経験の無い求職者が自動的に人事システムから振り落とされているんじゃないかと私は疑いを抱いているのです。これってカナダではよくある事なんですよ。だから私はこれが人手不足の原因に違いない!と固く信じているのです。


ま、いずれにしろ、どんな理由であれ医療ソーシャルワーカー不足が日々の業務に深刻な影響を及ぼしてるのは事実です。例えば、私の勤める病院ではSWポジションが今も3つ以上埋まっておらず、今いるワーカー達(上司も含めて)が交代でカバーしあってる状態です。またお隣の腎臓ケアセンターでは、通常3人いるはずのソーシャルワーカーが1人しかいなくて、SWポジションx2の求人を出しているのですが、ここ2年間応募者ゼロ!医療ソーシャルワーカー業界では「腎臓ケアは楽なお仕事~」って評判にもかかわらず(私じゃありませんよ、こんな噂ながしてるの)この有様です。これは本当に医療ソーシャルワーカーが足りてないんだ!


そんな中、私の病院のSWリーダーから「実習が再開されます。人手不足解消のため、誰か実習生を引き受けてくれませんか?」ってなお願い一斉メールが送られてきました。これはついに私の出番じゃね!?献身的な私はそう思うとさっそく同僚で相棒のRさんと相談しました。Rさんもかねてから実習生を担当してみたかったそうで、お互いに意気投合。実習生受け入れを決意したのです。あらシンペー、病院の人手不足解消に一役買おうなんてやるじゃん!なんて単純に感動してはいけませんよ。すべてが計算でしか動かないシンペーには他にも動機があったのです。それは「長期休み用の人員確保」。どういうことかと言うと、今年の終わりごろにはきっとコロナ規制が緩まるだろうと早くから予想していた私は、秋に2カ月間くらい日本に行こうと計画していたのです。え?2か月も有給あるのかって!?もちろんあるわけないでしょ!だから有給休暇に無給休暇を組み合わせて2ヶ月間日本訪問をしようと思ったのです。でも無給休暇には上司の許可が必要です。まるまる2ヶ月も職場放棄するのは流石に業務にも支障をきたしてしまうし、なによりも同僚のRさんに多大な負担をかけてしまいます。さらにそんな理由から絶対上司もOKサインを出すわけありません。だから実習生を私の長期休みカバー要員として仕立てあげれば、晴れて私の無給休暇申請も下りるはず!と目論んだのです。さらに、実習生を受け持つことは私が働く腎臓透析科内での私とRさんの評判&評価も上げるチャンスになるに違いない!という卑しい承認欲求もちょっとした動機になったのです(って、ちょっとどころかこれが一番だったりして 笑)。


そんな訳で、「腎臓透析科で実習生担当します!」とSWリーダーに宣言した私とRさん。SWリーダーは大喜びです。また同じくオフィスをシェアする2人のソーシャルワーカー達も協力を申し出てくれました。これで準備万端!あ、Kさんの事忘れてた。ワザと忘れたふりをして実習生の事を話さないでいた「意地悪ソーシャルワーカー」シンペーなのですが(っていうかめんどくさかった・・・)、実習生受け入れをいつまでもKさんに話さないわけにいきません。なので仕方なく実習開始1週間前に「あ、Kさん、来週から実習生来るからよろしく」と淡々と言ってみました。すると案の定「え!?聞いてないよ!どういうこと?この狭い部屋にもう一人来るって事?私は嫌だよ!ただでさせ狭いのに(怒)」と一気に怒りのスイッチオン。あ~あ、やっぱりね~と予想通りの反応にうんざりするシンペー(だったらもっと早くにKさんに教えてやれ!)。でもカッカしているKさんを見るとついつい油を注ぎたくなるシンペーは「でもさー、ここはそもそもソーシャルワーカー部屋だったのはKさんも知ってるよね。で、Kさん個人の事情でKさんがこの部屋に来ることになったから狭くなったわけでしょ?(過去ブログ記事参照)ここにいる全員狭いのはその時から我慢しているし文句はいってないよね?医療ソーシャルワーカー不足解消と透析科の未来のためにもソーシャルワーカーが必要だし、新しソーシャルワーカーを育てるのも自分達の大切な仕事だから、実習生は受け入れます、以上!」と一方的に宣言したのでした。我ながらなんて正当な事を言ってるんだと感動するのですが・・・え!?はい、わかっています・・・もっと前からこういう話をKさんとしろって事ですよね。そうすれば事も荒立てずに済むのにね(笑)。分かっていながらついつい火に油を注いでしまう腹黒いシンペーにKさんは「同意できないわ!マネージャーに言いつけてやる!」といって上司に言いつけに行ってしまったのでした。はぁ~(溜息)


こんなんで実習生を受け入れることは出来るのか?こうご期待(っていうか、こんな腹黒いワーカーが担当者で実習生は大丈夫なのか!?)

(づづく)


カナダでソーシャルワーカー Social Work in Canada

カナダでソーシャルワークをしてみませんか?

0コメント

  • 1000 / 1000