住宅事情:東京VSバンクーバー 準備編


私が日本で1年間の無給休暇を過ごすにあたり、まずやらなければならないのは東京での住居探しでした。松本の両親は「お金がもったいないからここで1年間暮らせば?」と実家暮らしを勧めてきたのですが、いやいや、ありがたいけど、とんでもない話です。1年間の松本暮らし(しかも親と同居)・・・なんの罰ゲームですか?って聞きたくなります。そもそも、田舎生活とはご近所の目にさらされる事。「海外に住んでいたはずの息子さんが実家に戻って引きこもっているみたい・・・お気の毒なご一家だわね〜」・・・とセバティカルなんて洒落たもん知らないご近所さんの噂話が今からすでに想像できます。いや、そんなことより松本で1年間何するよ?それ以上に、20数年ぶりの365日親子水いらずの生活・・・絶対3週間以内に親子水入らずの大喧嘩が勃発するでしょう。そんな訳で、親不孝者の私は、親心をバッサリ捨て、大都会東京生活の準備をすべく、まずは不動産屋の門を叩いたのでした。


「え?20年ぶりの帰国?・・・あのじゃー最後に日本で一人暮らしされたのは大学生の頃でしょうか?」と不安げな面持ちで聞いてくるのは人の良さそうな不動産のお兄さん。はい!と答えた私にクイズを出してきます。「シンペーさん、アパートとマンションの違いって分かりますか?」・・・いくら海外生活が長い私でも、マンションがこの場合、英語のMansion (訳:豪邸・大邸宅)を意味しないことぐらいは分かります、が、アパートはともかくマンションの定義ってなんだ?アパートが賃貸でマンションが分譲ってことかな〜?と思っていたのですが・・・皆さん分かりますか違い?


正解は(不動産曰く):アパートは木造でマンションは鉄筋コンクリート製。


本当かよ???(笑)

まーそんな訳で、アパートとマンションの違いも分からないど素人な私に、不動産屋のお兄さんは丁寧に「How To Rent An アパートORマンションIN東京」を教えてくれたのでした。まず必要となるもの、それは・・・収入証明。不動産屋のお兄さんは私が繰り返す「セバティカル」と言う言葉に不安の表情を隠せません。まー「無給休暇取ってます!」と言っても良かったんだけどセバティカルの方がカッコいいじゃんね?と思って使ってたんですが、そんな私に不動産屋のお兄さんは「あのー、それって給料が毎月支給されているって事で良いんですよね?」と聞いてきます。そんな訳ないじゃん!無給休暇なんだからさ!と言おうと思ったものの、この雰囲気だと「はい・・・」と言わないと「残念ながら、あなたに紹介できる物件はございません」と言われそうな悪い予感がしたので、「はい・・・一応」と答えた悪い子シンペー。(だって、だって、今月の給料は出るし、貯金だって十分あるし、夜逃げなんかしないもんね!)と心の中で言い訳したのでした。
「あ〜それは良かった。じゃー収入証明出して頂けますか?」
「う・・・・・それは・・・・何を出せばいいんでしょう?」これはまずと思った私。
「2018年度の源泉徴収はありますか?」
「あります!あります!カナダのがあります!」あ〜良かったそれなら大丈夫、ちゃんと出せる。ホッとした私。


「それで、シンペーさんは日本在住中はどちらでお仕事されるんですか?」
え!?セバティカルやて言うたやん!無給休暇やで?仕事先なんてあるかいな!と言おうと思ったものの、仕事先はありません、と言ったら「残念ながら、あなたに紹介できる物件はございません」と言われそうな悪い予感がしたので「あの・・・一応日本の大学で教える事になっております・・・」とまたまた嘘ついてしまった悪い子シンペー。(でも、でも、大学にアプローチしていることは事実だし、何件かプレゼンの誘いも受けているから100%の嘘じゃないもんね)と再び心の中で自己弁護する私。
「それでは、その大学の在職証明出して頂けますか?」
・・・ううう、これはピンチ・・・どうする嘘つきっ子シンペー・・・・
「えっと、えっと、あのですね、私、カナダのC病院から1年間日本で研究目的(いつから?笑)で派遣されていますので、C病院の在職証明でもいいでしょうか?日本ではあちこちの大学を転々とする事になっておりますので(汗)」
「・・・あ、そう言う事ですか・・・じゃーC病院の在職証明出してください」
あー良かった、それなら出せる・・・・・再びホッとした私。


「あと、保証人なんですけど」
(あ、それは大丈夫!)「はい、私の両親がいます!」
「えっと失礼ですが・・・ご両親様は55歳以下でしょうか?」
私が42歳なのに親が55歳以下なわけないだろうぉ〜!13歳で出産したんか〜?と突っ込みたくなったのですが、ここは普通に「いえ、ちょうど2人とも70歳になりました」と答えた私。
「あ、それだと、保証人にはなれないんですよ。特に2人とも退職されているとなると」
え〜!どうなるの?ここでいきなりゲームオーバーか!?と冷や汗が出る私。
「でも大丈夫です。最近は、保証会社というのがあって、月々保証金を払えば保証人は必要ないんです」と笑顔で答える不動産屋さん。
なんだ、結局は金か、チッ・・・と意地悪く思ったものの、とりあえず基本的条件は満たすことが出来たのでした(半分嘘ついて・・・)。


それにしても、家を借りるだけなのに自分の仕事や収入、ライフプランまで事細かに説明しなきゃいけないなんて、すごい厳しい審査だね、東京の賃貸って。「あの、もし無職だったら賃貸探せないって事なんですか?」と思わず不動産のお兄さんに聞いてしまいました。だって、失業した人や、ホームレスの人、自営業の人たちはどうするんだろう?という素朴な疑問が浮かんだからです(それに、日本では私も立派な「住所不定無職男性42歳」だし・・・)。すると不動産屋のお兄さんは「そうですね。むずかしいですね。ま〜ある程度貯金があれば、貯蓄証明を出して頂ければ審査を通る時もあるんですけど、それでもダメって時もありますしね。やはり定職がないってのは信用問題にも繋がるので、アパートやマンションを借りる時に大きな障害となり得ますね。ぶっちゃけ厳しいです!」と、よもや目の前のお客がそんな客とも知らずに笑顔で答えてくれました。ごめんよ・・・お兄さん!でも、それって実はとっても困った事ですよね。日本でも世界的にもそうですけど、職の不安定化は年々加速して行ってるのに、在職証明がないと家も探せないんじゃ、社会的弱者の人達はどうやって住むところを確保するんでしょう?衣食住は基本的人権に関わる問題なのに・・・私も不動産屋に入ってすぐに「働かざるもの住むべからず!」と言われたような気がして、ちょっと凹んでしまいましたよ。これって日本文化なの???それとも私が選んだ不動産屋がたまたま厳しいところだったのか???どうなんでしょう?


住宅難が続くバンクーバーでも、最近は収入や財政状況の証明、あと昔住んでた大家さんからの紹介状なんかを要求する所も増えてきて、賃貸へのハードルは高くなってきています。同僚なんて全身写真付きプロフィールを送れ!なんていう気持ちの悪い要求まで大家さんからされました(なぜ家を借りるのに全身写真がいるんだ!?)それでも基本的に家賃1ヶ月分の保証金を納めればオッケーと言う大家が大多数なので、今回のように根掘り葉掘り仕事について聞かれることはあまりないと思います。そしてカナダと日本の賃貸事情の大きな違い、それは、賃貸に関しては不動産屋を通さない!という事です。つまり家を借りたい人は、賃借人募集をあげている家を一軒一軒回って自分で直接大家さん、もしくは管理人さんと交渉する事になるのです。まー不動産屋を通した方が楽ちんだから私は日本のこのシステム結構気にっていたのですが、それは初期費用と言うものを見せつけられるまでのお話(笑)。次回は、実際に内見に行って、家賃及び初期費用を提示されおったまげたお話をしようと思います。


さて追加のお話なのですが、不動産屋に言われた通り、私はC病院の在職証明と2018年の源泉徴収を不動産屋に提出したのですが、もちろん両方とも英文原書です。特にカナダの源泉徴収は、英語が読めても、どのコラムの数字が何を意味しているのか簡単には理解できない代物で、私だって最近やっと仕事がらカナダの源泉徴収の解読ができるようになったばかりです。なので、「あのー、この源泉徴収わかりにくいと思うので、どこが私の年収欄か説明しましょうか?」と聞いたところ、不動産屋のお兄さんは明るく「あ、大丈夫です。書類さえ揃っていれば!」と言うではないですか・・・・・・・あれだけ根掘り葉掘り厳しい審査をしたのに、肝心な証明書の扱いはこんなもんなの???なんか「お役所仕事」の臭いがプンプンする・・・これも日本文化なのか???それともやはり私の不動産屋選びが間違っていたのか!?笑
つづく
なぜか英語の見取り図を出してくれた不動産屋。日本語が読めないと思われた?でも8.1Jって言われてもJが畳のジョーとは外国人には分かるまい(笑)

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