医療ソーシャルワーカーも在宅勤務!?

カナダでは昨年3月からコロナ感染者が急増しロックダウンが実施されました。ロックダウン実施直後は、基幹医療従事者以外のスタッフは在宅勤務を命じられ、医療ソーシャルワーカーも例に漏れず一斉に在宅勤務へとシフトしました・・・と言っても、それはほんの僅かな期間だけで、数週間も置かずに、ほとんどの医療ソーシャルワーカーは病院に戻されましたけどね(涙)。

ま〜無理もありません。医療ソーシャルワーカーは医師、看護師と違って基幹医療要員とはみなされないものですが、しかし現場では、ソーシャルワーカーがいなければスムースに患者さんが(と言うよりベットが?)回りません。そして在宅からの遠隔サポートって、やろうと思えば絶対出来るはずなんだけど、現実的には慣れるまでには手間隙がかかり、また専門分野によっては難しいケースもあります。とくに緊急性が求められるERやICUなんかでは、ソーシャルワークの仕事は遠隔では難しいので、ER/ICUソーシャルワーカー達は最初に在宅から病院へと戻されました。その後、退院手続き要員として必要不可欠な病棟ソーシャルワーカー達も呼び戻されました。正直、病棟ソーシャルワークは遠隔でも出来るんじゃないかな〜?と思うのですが、きっと例のごとくサッサと患者さんを退院させたい病棟マネージャーの意向に沿って呼び戻されたのでしょう。回復期病棟とかだと「あ、〇〇さん今から退院させるから準備しといてね!」なんて事前警告もなく突然看護師長から申し渡される事も頻繁にあるので、若干手間と準備のかかる遠隔作業をソーシャルワーカーのためにするのが嫌なのでしょう(と心の曇った中堅ソーシャルワーカーの私は思うのでした)。そんな訳で、今現在、病棟勤務の医療ソーシャルワーカーはほぼ全員現場勤務に戻ったのでした・・・私たち腎臓透析科ソーシャルワーカーを除いては(ニヤリ)。


「なぜお前ら腎臓透析科ソーシャルワーカーだけが在宅勤務できるんだよ!?」と嫉妬とも敵意ともつかない口調でよく同僚から糾弾・・・じゃなかった聞かれる今日このごろ。恐るべし剣幕につい「えっと、あの、それは・・・」と言い淀んでしまうのですが、しかし!これにはちゃんとした訳があるんですよ!(と誰に言い訳してるんだ?)。

ずいぶん前にブログに書いた事があるのですが、私が今使っているソーシャルワーカールーム(事務室)はもともと4人部屋として使われていました。そこにマネージャーや透析科スタッフと大揉めに揉めて行き場のなくなったトラブル看護師Kさんがやってくる事となり(というかマネージャーに有無を言わさず引き取らされた 怒)、5人部屋に。ただでさえ狭かったソーシャルワークルームが、5人目の登場で劇狭に!おまけに、カッカとすぐにブチギレる短気のKさんのもつ過剰エネルギーのせいか、より一層ソーシャルワークルームが暑苦しく息苦しく感じられるのは私も短気でKさんと気が合わない所為なのでしょうか?・・・っとそれはまた別の話として(長くなるからね 笑)、とにかく今のオフィースは狭いんですよ。おまけに窓なし空調なし。そんな中、私と真隣のKさんとの距離はおよそ50cm・・・気が合わないのにこの距離感たまらね〜!って事よりソーシャルディスタンスですよ、ソーシャルディスタンス!空調のない部屋に、5人の職員が50cm間隔で詰めている環境はコロナ禍においては劣悪です(いや、コロナ禍でなくても劣悪だ!)。

結果、2mのソーシャルディスタンスを守るというカナダ政府&病院コロナ予防規定のもと、透析科ソーシャルワークルームの最大人員は3名まで!という決まりになったのです(やった〜)。そうなると単純計算で2名は部屋から追い出される事となり、もちろん代機の部屋なんて透析科内にあるはずもないので、必然的に在宅勤務となりました。じゃ〜どうゆう風にシフトを組んだかって?血液透析科のソーシャルワーカーは私とCさんの2人なので、週の半分づつに在宅と現場勤務にと分けたのです。ちなみに私は月〜火(隔週で水曜日)に在宅担当です。で、腹膜透析科ソーシャルワーカーの2人も同じようなシフト体制を組みました。ちなみにKさんは在宅勤務拒否!いつも勤務中にゲームをピコピコやっているKさんだから(過去ログ参照)、喜んで在宅するんじゃないかと思っていたのに驚きです。一体どうしたんでしょう?ま〜いいけど・・・とついKさんの話題を出すと意地悪なトーンになるシンペー(汗)。


さて、それではどうやって医療ソーシャルワーカーが在宅勤務をしているのかを、私の実務例を挙げて見ていきましょう。


まず最初にやることは、リモートアクセスの設定をすること。これで患者さんのカルテを見たり書いたりを自宅からすることが出来ます。ただプライバシーに関わる大切な事柄なので、Microsoft Authentificationなんかも使った2重3重のセキュリティーを敷いて安全を確保しています。ZoomやSkypeなんかもインストールされているので、職場の同僚や関係者とはチャットやオンラインミーティングで対応。でも患者さんとの直接のやりとりは基本電話です。ただ職場から携帯が支給されているわけではないので、自分の携帯を使います。通話料金?それはもちろん・・・自腹だよ!ま〜私のはカナダ全土通話かけ放題プランだからいいものの、もし通話料金がかかるプランだったら・・・ちょっと困る。電話の厄介なところは、プライベートでも使う電話だから自分の電話番号を表示したくないところ。もし患者さんに私の自宅番号を知られるような事があったら、それもトラブルメーカーの・・・ゾゾゾっとしますよ想像するだけで。ソーシャルワーカーをされてる皆様にはこの恐怖が分かりますよね。そんな訳で、もちろん電話設定は「非通知」にするのですが、でもそうすると患者さんも「非通知」コールを警戒して電話に出てくれないんですよ(涙)。そうなると患者さんの留守電に、私の職場の電話にかけ直してもらうようメッセージを残し、その後、患者さんからのメッセージを職場電話から聞いて、また改めて「非通知」で私の電話から患者さんに電話をして、また居留守を使われてメッセージを残し、そして職場の留守電のメッセージを・・・堂々巡りじゃ〜!!!いつまで経っても患者さんと連絡がとれない・・・まるで伝言ゲームです。かといって「あの、非通知電話は私からかもしれないんで必ず出てくださいね!」ってお願いして、結果、患者さんが次々とかかってくる非通知の迷惑電話に出るハメになっても可哀想だし・・・むずかし〜。


そんな訳で、基本、私は患者さんとの直接交流はできる限り職場勤務の時にやるようにして、在宅の日はカルテ記入、申請書作成、などの書類業務や、交通手配なんていう雑用業務を主にするようにしています。これなかなか効率的です。というのも透析患者さんは週3日透析にやってくるので、必ず一度は職場勤務の時にお目にかかることができるのです。また透析科は外来なので、「いきなり退院!」なんていう厄介な仕事もなく、滅多に緊急事態も起きません。もし仮に患者さんが急変したなんていう事態が起きても、私か同僚Cさんのどちらか1人は職場に常駐しているので、これも問題なく対応することができます。なのでかなり効果的に在宅&職場(半在半職?)のコンビネーションで運用できています。これならいっその事、コロナ禍の有無に関わらず半永久的にこの「半在半職」でいいんじゃね?と思って・・・いや願ってしまいます。

では在宅の何がそんなに良いのか?

それは:

  • 片道1時間の通勤から解放される
  • つまり朝ゆっくり寝てられる
  • 仕事をしながら朝ごはん食べたりお風呂に入れる
  • つまり時間が有効に使える
  • 横になりながら仕事ができる
  • つまり腰痛にいい
  • 日曜日にブルーにならない
  • つまり精神衛生にも良い


て感じで限りなく利点はあるのですが(すべて自己都合)、ただしソーシャルワーカーの在宅勤務において不利な点もあります。それは「患者さんの心のサポート」。私個人的に感じるのは、Zoomや電話での心のサポートって難しいな〜ってこと。もちろんZoomでも電話でもカウンセリングは出来るけど、なんというか直接会って話す時に生まれる空気というかバイブというか雰囲気みたいのが、なかなか遠隔では出したり感じ取ることが難しいように思えるのです。ま〜それはただ単に私がアナログで、デジタルの時代に追いついてない!という根本的問題も大いにあるのですが、なんだか今ひとつ「あうん」の呼吸が掴みにくくて苦手です。あと申請書類とかの説明も、電話だとすごく難しくて、やはり直接患者さんを前にして説明する方が楽だな〜と思います。ま、私は所詮ネイティブ英語スピーカーではないので、電話が苦手!ってのもあるけどね。ただ、さっきも言った通り透析科の患者さんとは職場の日に会えるので、この「半在半職」の環境は私にとっては完璧だと言えるのです。


この医療ソーシャルワーカーの在宅勤務。病院外では透析科以外にもやっている人たちがまだまだいます。Primary Care Clinicとかの一般外来のソーシャルワーカー達の中には完全在宅勤務をしている人も結構いるらしく、Primary Careのソーシャルワーカーなんかはとくに生活保護や障害保険などの申請業務が多いから大変だと思うけど、それでも在宅からでも出来ているんだからすごいよね。って事は、やはりやる気になれば医療ソーシャルワーカーの仕事は在宅でもできるって事じゃない!?って思ってしまうのは私だけでしょうか?日本のソーシャルワーカーも在宅している人いるのかな?在宅大賛成派(?)の私としては興味のあるとこです。


この医療ソーシャルワーカーの在宅勤務。ワクチンがだんだんと出回ってきた今、どうなるんでしょうね〜。私なんてもう2本も打ってもらった身なので、戻ってこいと言われても文句は言えないんですけど、でもあのギチギチの5人部屋体制に戻るのは嫌ダァ〜。第一精神衛生上よろしくない!(っていうかKさんの近くに座るのが嫌なんだろ!)。という感じで、今のところは上司からもなんのお達しもないのですが、恐らく近い将来、職場業務完全復帰の日もやってくるでしょう。あ〜カナダに帰ってきてまだ3ヶ月ちょっとなのに、すっかり甘やかされた感じのする今日この頃。毎朝6時起き週5日出勤の日々など私に出来るのでしょうか・・・運命はいかに!?(と日本の皆様からはボコられそうなことをいって今回の話題は終わりにしたいと思います 笑)。



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