ソーシャルワーカーの喜びとは?
2004年に大学を卒業して以来、いろいろな現場でソーシャルワークをしてきました。
NPO,国際協力、個人カウンセリング、医療ソーシャルワーク・・・それぞれの職場で、色々な達成感・喜びを仕事を通して味わってきましたが、それでも一貫してソーシャルワークという仕事から得られる喜びとは、やはり「困った人の役に立つことが出来た」という喜びに勝るものはないと思います。これはソーシャルワーカーの仕事をしている人すべてに共通の喜びではないでしょうか?
それでも同僚の医療ソーシャルワーカー達を観察していると、やはりそれぞれ仕事の喜びを感じるツボは微妙に違うようで、例えば:
- 患者さんの問題を事務的にこなしていく事に喜びを感じるタイプ
このタイプのソーシャルワーカーは、一つ一つの問題をチェックリストのごとくテキパキとこなして行くことに達成感を感じ、問題がすべて解決した瞬間に大きな喜びを感じます。
- 患者さんとの心のつながりに喜びを感じるタイプ
このタイプのソーシャルワーカーは、患者さんとの関係作りに重きを置き、患者さんが自分を信頼し、心の奥に留めておいた悩みを打ち明けてくれた瞬間に喜びを感じます。とくに誰とも心を開かない難しい患者さんが、自分に心を開いてくれた時は大喜びです。
- チームワークに喜びを感じるタイプ
このタイプは、医療チームの一員として認められ、患者さんの悩みをチーム一体となって解決出来たときに大きな喜びを感じます。特に医療チームと患者さん(家族)とのミーティングで実力を発揮し、患者さんと医療チームをつなげることに努力を傾けます。
- 難しい問題に悩むことに喜びを感じるタイプ
自虐的に患者さんの抱える解決が難しい問題を延々と考え続けることに熱意を傾け、とくに同僚と一緒に患者さんの難しいケースを話し合うことに喜びを感じます。不公平な社会構造について熱く語るのが大好きです。
とこんな感じでエラそうにタイプ分けしてみたのですが、基本的にこれ全部、私個人が感じている医療ソーシャルワークの喜びのツボなんです(笑)。でもこの中でも特に、私としてはチームワークに喜びを感じるタイプだと思います。医療ソーシャルワーカーにとって、医療チームの一員として働くことは、簡単そうで簡単ではありません。それぞれの医療チームによってソーシャルワーカーの仕事に対する理解が異なるからです。精神科やHIV/AIDSクリニックのように、ソーシャルワーカー無くしては成り立たないような現場の医療チームは、ソーシャルワーカーもチームの一員として大事(?)にされることが多いのですが、一般病棟やがん病棟などの医療チームではまだまだソーシャルワーカーの仕事・価値が認識されず、特定の仕事にのみ(例:退院手続き)特化させられる傾向にあります。幸運な事に、私が勤める腎臓透析科の医療チームは比較的ソーシャルワーカーの仕事に理解があり、腎臓医、看護師、薬剤師、栄養士とのコミュニケーションも円滑に出来ています。私がこの透析科に居心地よく働けている最大の理由は、ここの医療チームの良さにあるのだと思います。
このように仕事に対する喜びをとうとうと語ったのですが、一つ絶対に忘れてはいけない仕事に対する喜びがあります。さて、なんでしょう?
それは、お給料を貰う喜びです!!!ちなみに今日は給料日。イェーイ!うれしいな~。
なんだ、最後は金か・・・と思われるかもしれないですが、これはソーシャルワーカーにとって、とても重要な事だと断言できます。
ソーシャルワーカーの仕事は、心を使います。患者さんの悩みを聞くためには、共感力が必要で、親身に相談に乗れば乗るほど、自然と患者さんの問題が自分自身の中に浸透してきます。「一体どうしたらいいんだろう?」「なんとか助けてあげたい」と仕事の後も、ご飯のときも、寝るときも考えてしまうこともあるでしょう。そのうちに、患者さんの問題だったはずなのに、まるで自分の問題のように思えてきてしまうのです。ソーシャルワーカーの仕事のリスクは、相手と自分との境界線が重なってしまう事にあると思います。情があつくて熱意のあるソーシャルワーカーはとくに大変です。でも、この境界線をハッキリさせてくれるのがお給料なのです。私にとっての給料日は「ソーシャルワークは仕事である」ことを思い出させてくれる日です。患者さんの悩みを聞きサポートするこで対価を得る仕事。つまり患者さんの悩みは仕事の一環であり、でも私個人のプライベートとは関係ない。この一線を引くことがこの仕事を続けていく上でいかに重要かは、「燃え尽き症候群」で辞めていったソーシャルワーカーたちを見てきて切実に感じることです。
よく知り合った人に職業を聞かれ、「ソーシャルワーカー」だと答えると、「やさしい人なんですね」とか「面倒見のいい人なんですね」とか褒められることがあります(それとも単なるお世辞か?)。もちろん聖人のように扱われるのは嬉しいですけど、でもよく考えたら無償奉仕でもボランティアでもなく、お金を貰ってやってるわけですから、特別な仕事をしているわけではありません。むしろプロフェッショナルとして見られたいな、と個人的には思います。なんとなく話がずれてきたかもしれないのですが、私が言いたいのは、ソーシャルワーカーにとってお給料を貰うということは、お金を貰う以上にプロフェッショナルとして仕事をする上で大事なことなのだということです。
と熱く語ってしまいましたが、もちろんお金も大事です。お金がなきゃ、ソーシャルワーカーだって食べていけないもんね。というわけで、今日は給料日なので、奮発してステーキでも食べたいと思います!
みなさんよい週末を。
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