ソーシャルワーカーとダイエット
巷ではOO+ダイエットと検索すれば、必ず「OOダイエット 2週間で6kg痩せた!」とヒットするくらいダイエットの情報があふれています。ためしに、ソーシャルワーカー+ダイエットで検索してみましたが、残念ながら「ソーシャルワークダイエット 患者さんへの相談疲れで10kg痩せた!」というような記事は出てきませんでした。というより、この場合は逆にストレス太りになりそうです。では一体なぜ「ソーシャルワーカーとダイエット」なの?いえ、いえ、べつに何かを売りつけようとか、検索でヒットを狙おうとか、そんな不遜なことを企んでいるわけではないんですよ。こんなタイトルを思いついたのも、同僚の間で今、ダイエットが流行っているからなんです。
まず、そもそもなぜ1月にダイエットが流行るのか。これには大きな理由があります。
• 「新年の抱負 New Year’s Resolution」として幸先の良いスタートをきりたい
• 12月はクリスマスシーズン。数々の宴会・パーティーで食いすぎた
• 1月1日のNew Year’s パーティーで飲みすぎた
• みんながダイエットをするなら、自分だけ置いてきぼりになるのは嫌だ
といったような理由で1月はダイエットブームになるのでした。ご多分に洩れず、うちの病院のソーシャルワーカーたちにもダイエットブームが到来中。良くも悪くもソーシャルワーカーはチームワークが得意です。Weight Watchersのようなダイエットアプリを活用しながら、お互いに監視(と書いて励まし合うと読む)しあっているようです。私ももちろん12月は食い倒れていたのですが、でも食事制限は今ひとつ得意ではないので運動療法でごまかしています。ただ、飢えに苦しんでいる同僚の隣で、無神経にピザやハンバーガー、フライドチキンにポテトチップスなどをこれ見よがしに食べるなんて、心優しいソーシャルワーカーとして出来るはずもありません。仕方がないので最近はこんなランチを食べているのです。
このような特大ファミリーサイズのサラダで空腹を満たす職場でのランチなんですが、ソーシャルワーカーには菜食主義(Vegetarian)や、さらにそれの上を行くビーガン(Vegan)を実践している者も大勢います。私は最近まで知らなかったのですが、ビーガンは、肉・魚以外にも卵や乳製品も食べず「絶対菜食主義者」とも呼ばれるようです。ビーガンを実践している私の同僚は、むかし家畜の屠殺を見て以来、動物愛護の観点から菜食主義、そしてビーガンを実践するようになったと話してくれました。ただ、だからと言って肉食主義(?)の私を非難するわけでもなく、そこはあくまでも多様性(Diversity)を尊重するソーシャルワーカーとしての倫理も実践してくれるのです。
私も、肉は頑張れば断てそうな気がするのですが、魚介類はぜったい無理です。とくに日本料理には魚介類は欠かせないので(精進料理というものもあるが・・・)、やはり完全菜食主義を実践するのは難しそうです。魚が野菜類の仲間だったら良かったのに。。。ただ、ご当地バンクーバーでも菜食主義やビーガンがとっても流行っているので、おいしいベジタリアン&ビーガンのお店も沢山あります。同僚たちとの食事会では、ベジタリアンのめずらしい料理を食す機会もあり、やはり食の多様性もいいものだと改めて思います。
さて、食で思い出したのですが、カナダのソーシャルワーク(社会福祉)学部で学んでいたときに、一人のクラスメートがいました。彼女は卒業間近に控えたある日、「私はソーシャルワーカーにはならない」と言いました。てっきり卒業したらクラスメートはみんなソーシャルワーカーとして働くのだと思っていた私はビックリして「一体なにをするのか?」と聞きました。そしたら彼女は「わたしは人の役に立ちたいと思って色々考えた結果、オーガニック農場を経営して、安全で低所得家族の子供たちでも食べれるような手ごろな価格のオーガニック野菜を作ることにした」と言うのです。その時、ソーシャルワーカーって色々な方法・分野で人の役に立つことができるんだなぁーと、私は目からうろこが落ちた思いでした。
今もその彼女がオーガニック農場で野菜を作っているのかは分かりませんが、もしかしたら今日私が食べたサラダの野菜も彼女が作ったものかもしれませんね。あ、でも、このサラダはオーガニックじゃなかったかも、安かったし・・・だいたいオーガニックのものは体に良いと言われますが、値段が高めなのが一般消費者には痛いところなんですよね。やはり同級生の彼女が言ったように、健康で安全な食べ物は必ずしも平等には分配されないんです。つまりこれも立派な社会福祉の問題の一つなのだと言えるのではないでしょうか?
ソーシャルワークを勉強していたとき、「食と社会福祉」という科目を取ったことがあります。いかに貧富の差と食生活というものが関連しているのかという勉強だったのですが、貧困問題を、私たちに身近な食べ物から考察するという点が当時の私には新鮮でした。発展途上国では貧困の象徴は飢えであるのに対し、先進国では貧困の象徴は肥満というのも皮肉な現実です。またソーシャルワーカーが食と関わるものの一つに、摂食障害があります。摂食障害の患者(クライアント)さんへのサポートは、メンタルヘルス分野のソーシャルワーカーにとっての大きな役割です。バンクーバーにも摂食障害専門のクリニックがあり、専門のトレーニングを受けたソーシャルワーカーが働いています。この摂食障害クリニックのニーズは年々高まっており、摂食障害はカナダでも大きな問題として捉えられています。
英語のDietにはダイエットの意味のほかに、食生活という意味も含まれています。今回、同僚のダイエットブームについて書いているうちに、ソーシャルワーカーが関わる食の問題についてまで話が飛んで行ってしまいました。でも、とりあえあず「ソーシャルワーカーとダイエット」・・・上手く(強引に)つなげることが出来たと思うんですけど、どうでしょう?(汗)あー今日は嬉しい金曜日+給料日、焼肉食いてぇー!!!
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