人間観察力をつける方法


私は人ごみは好きではありません。人がいっぱいな所にいると、わぁ~という熱気に押されて、なんだか自分のエネルギーも吸い取られそうな感じになるのです。ですから、本来、週末の日曜日は1人ひっそり過ごすのが好きなのですが、今日は友達の買い物に付き合う形で、バンクーバーでも有数の巨大ショッピングモールに行ってきました。



雨ばっかりの冬のバンクーバーは、ハッキリいってやることがありません。そうなると出来そうなことと言えば室内でのアクティビティ。映画、買い物、ウィンドーショッピング、そしてまた買い物・・・というわけで、映画館も入っているこのショッピングモールは大勢の人で賑わっています。老若男女入り混じって、一体何をそんなに買うものがあるんだろうってくらい、通路もお店も人でいっぱいです。友達とはフードコートで会うことになっていたのですが、すれ違う人が多すぎて人酔いしそうです。一体は私はこの人ごみの中無事フードコートまでたどり着けるのでしょうか・・・?


私は、室内に入ると急に方向音痴になってしまいます。とくに人が多いところだと人が放つエネルギーに圧倒されるのか、脳の方向磁石がバカになって、っていうか脳の働き自体が停止してしまい、無意識に目の前を歩いてる人に付いて行ってしまう習性があるのです。そのお陰で、今回もフードコートとは反対方向のお店に入ってしまったり、行く予定の無いトイレに迷い込んだり、駐車場に出てしまったりと、本当にフードコートにたどり着くまでの道のりは長かったのです。



さて、ようやく友達ともフードコートで会うことができ、とりあえずお茶でも飲んでゆっくりすることにしたのですが、ここもすっごい人混みです。激混みです。お茶を飲んでいる我々の周りは人混みに包囲されています。うわ、これは大変そうだ、大丈夫かな・・・と私のことを心配してくださった皆さん、お心遣いありがとうございます。でも大丈夫、私は人混みのフードコートやカフェ、レストランに居るのは大好きなんですよ。あれ?さっきと話が違うって?(笑)


なぜそうなるかと言うと・・・それは人間観察にあります。


私は人間観察をするのが大好きなんです。もしかしたら、ソーシャルワーカーになろうと思ったのもこの性質のためかもしれません。じゃーその人間観察ってなんなんだ?って話になるのですが、私の場合は、目に付いた人のライフストーリー(人生劇場)を想像するのが好き、というか癖、というか自動思考(?)としてイマジネーションが勝手に広がっていくのです。ではどんな風に私が人間観察をするのか、せっかくなので、今日フードコートで見た人の例を使って見ていきましょう。



その1「不穏なカップル」

我々が座っている席の隣に若いカップルが座っています。でもなんとなくさっきから不穏なよどんだ空気がどよ~んと隣から流れてきます。横目でチラ見すると、どうやら彼女のほうが怒っているようです。というのも、お互い無言なのですが、彼女の目がギラギラしていて怖いのです。そのうち、彼女がボソっと何かをつぶやきました。そして男もボソっと呟き返します。一体何を話しているのか・・・聞きたい!!!そう思って子供のころからダンボとからかわれた私の大きな耳を広げてみたのですが、真後ろの中華系老人グループのしゃべる声がキャンキャンとうるさく、ぜんぜん聞き取れません。そこで私のイマジネーション(空想)の登場。

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彼女「ひどいよ、あんなことするなんて」

彼氏「しょうがねーじゃん。我慢できなかったんだから」

彼女「そういう問題じゃないよね」

彼氏「じゃーどうすればいいんだよ?」

彼女「だからさっき勝手に食べた私のドーナツ返してよ!怒」

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なんて、くっだらない理由で真剣に喧嘩しているカップルを想像したのです。だって深刻な別れ話だったら可哀想だし・・・という理由で。



その2「毛皮の女」

隣のカップルの喧嘩に飽きた私が次に目をつけたのは、毛皮のコートを羽織り、その下にぴっちりした白い豹柄のスーツを着た若作り風の中年の女。お金のありそうな身振りで優雅にコーヒーを飲みながら歩いてます。でも何かがおかしいのです。なんだか格好がアンバランスなような・・・あれ?なんでこの人、ビーチサンダルを履いてるの???

そこでまた私のイマジネーションが登場。

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ちょっと顔がやつれていて不幸そうなこの女性は、先日当たった宝くじ30万円を贅沢にパァーと使いたくなりました。だっていつもは寝たきりの義母の介護と働かない夫のためにパートの仕事と介護をかけ持ちする毎日。贅沢なんて結婚以来したことがあったでしょうか。でも、ひょんなことで買った一枚の宝くじがなんと大当たり。でも家に持って帰ればただの生活費として消えてしまう・・・それならいっそ自分のために贅沢をしてしまおうと思い立った彼女は、適当に入った派手なお店で、ミンクのコートとぱっつんぱっつんのスーツを買って、古いボロのような自分の服はその店のゴミ箱にポイしたのでした。でもお店を出て気が付くのです。履いてた靴も一緒に捨ててしまったことを。じゃー今度は靴を買わなくちゃと思って靴屋に入ったら、さっきの服の支払いに29万9千300円を使ってしまって、もう財布には700円しか残っていません。仕方が無いので、その靴屋で一番安い500円のビーチサンダルを買い、そして残った200円でスタバのコーヒーを買って飲むのでした。格好はちぐはぐでも彼女はそんなことは気にしません。だって贅沢をしたという願望が叶って、今はもう満足感で彼女の心は満たされているからです。ちょっと元気になった彼女は、また明日からのいつもの日常を頑張ろうと思えるようになったのでした。(私の想像はここで終わり)

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その3「孤独な老人」

え~話やないか~!と自分で作った毛皮の女性の「感動秘話」に耽っていた私の目に入ってきたのは、グレーのスーツをきっちりと着こなした70代くらいの男性でした。カジュアルな格好の人が多い日曜日のフードコートには、めずらしい感じだな~と思って見てたのですが、この初老の男性、時折遠くをボォーと悲しげに見るのです。私とも何回か目線が合ったのですが、焦点があってないような表情をするのです。もしかして具合が悪いのかな?と心配になったのですが、時々手を動かして、フードコートで買ったお弁当を食べています。なんだか気になるこのおじいさん・・・私のイマジネーションが再び・・・出そうになった時、私の友人が「ねえ、あのおじいさん大丈夫かな?なんか元気がなさそう。こんな場所に、あんなきちっとした格好で来て・・・あっ!もしかして亡くなった奥さんの思い出を回想しながら、最期の晩・・・」と言ったところで、


ちょっとストップ!


そうなんです。私の友人も、私に負けず劣らずの人間観察好きなんです。でも友人は私よりもネガティブな想像(空想?)する傾向があるみたいで、話が暗くなるんです。あぶない、あぶない。私ももう少しで彼のネガティブなストーリに引き込まれてしまうとこでした。でもそんな悲しいストーリーをせっかくの週末に想像して、気分をわざわざ落ち込ませるのは困ります。そこで私のイマジネーションを再び登場させます。


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三年前に亡くなった奥さんとの思い出のフードコート。彼は毎週日曜日の礼拝の後、このフードコートでご飯を食べるのが日課です(だからスーツを着ている)。昔は奥さんと来ていたけど、今は独り。寂しさは消えないけれど、たくさんの人がいるこのフードコートに来ると少し寂しさが和らぐ。一口一口お弁当の味を噛み締めると、生きているという実感が沸く。来週の連休には娘夫婦と5人の孫が遊びに来て、きっと家の中はこのフードコートのように賑やかになることだろう。楽しみだ!妻よ、私はお前の分まで生きて、孫の成長を見守るよ。もう少し待ってておくれ。(私の想像完結)

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あ~こんな話なら一安心。これで週末もゆっくり過ごせます。



・・・とまぁーこんな風に私は人間観察をするのです。


え?悪趣味だって?うう、、、でもそれは違うのです!


ソーシャルワーカーは人の感情を読み取り、共感し、そして問題解決に向けたさりげない手助けをする能力が求められます。その能力を磨くため、私は休日である日曜日をも犠牲にして日々、人間観察というトレーニングを自らに課しているのであります。ですからこれは自己鍛錬の一種なのです!


なんて、言い訳がましいって?あはは。そうですね。この人間観察と云う名の「詮索好き」(英語ではNoseyと言う)は、私の短所でもあり長所でもあるのです。短所としては「余計なお世話じゃい!」っと勝手に人の人生を頭の中で作ってしまうところ。長所としては「人の人生には大変興味があるんです」というソーシャルワーカーには必須の性質。つまり短所は長所にもなり得る!という典型的な例なのですよ。



はい、はい、そうですよ。私は昔から「あー言えば、こう言う」って親からも友人たちからも屁理屈が上手い人だとずっと褒められてきたんです。でも、みなさんも人間観察しませんか?私の同僚は、人間観察好きな人多いですよ、本当に。まぁー私のように勝手にストーリーを膨らませてるかどうかは分かりませんが・・・汗。



きっとあのお爺さんは、変なアジア人二人がジロジロ自分のことを見てて大変不快に思ったことでしょう。もしかしたら、あの寂しそうに見えた顔は、実はムカついてた顔だったのかもしれません。本当に失礼しました。


以上、本日の戯言ブログでした(笑)

カナダでソーシャルワーカー Social Work in Canada

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