世界ソーシャルワーカーの日


昨日3月20日は「世界ソーシャルワーカーの日」。皆さん知っていましたか?私は知りませんでした。私はてっきり先週がその日だと勘違いしていたのです。と言うのも、病院ではソーシャルワーカー週間と題して、カフェテリアでクッキーやスナックを売って基金集めをしたからです。私は風邪のため参加を中断、クッキーと一緒に風邪菌をおまけに付ける訳にはいきませんからね~(涙)。でも実はこのソーシャルワーカー週間、どうやらBC州のソーシャルワーカー協会が主体となって開催したもので、目的は「BC州のソーシャルワーカー達に感謝と敬意を示す」こと。なんとなく公共へのソーシャルワーカー押し売りっぽい感じもしなくもないのですが、それでもBC州の子供・家族・社会開発相は「ソーシャルワーカーの仕事は大変な仕事でその活躍には尊敬と敬意を感じる」と言ってくれたのです!(良かったね~)。



そんな訳で、まぁ~先週のソーシャルワーカー週間は成功(?)のうちに幕を閉じたのでした。そして昨日は「世界ソーシャルワーカーの日」・・・え!?またソーシャルワーカーに感謝と敬意を示すの!?って公共の人達はうんざりしたのかどうかは知りませんが、あまり話題になっておりません(涙)。そりゃそーだよね、いつもは日陰の存在で、でもたまには皆にも私たちの努力と苦労を知って欲しい!と承認欲求が(ひそかに)強い私たちソーシャルワーカーですが、毎週のように公共に感謝と敬意を要求したら飽きられてしまうやね~(笑)。どうせだったら今週をBC州のソーシャルワーカー週間にすれば良かったのに・・・と思うのは私だけでしょうか。



さてこの「世界ソーシャルワーカーの日」なんですが、そのホームページによれば1983年から毎年3月の第3火曜日に国際ソーシャルワーカー連盟(International Federation of Social Workers)によって開催されているとか。テーマは2年毎に決められるようで、今年のテーマは去年からの続きで「持続可能なコミュニティと環境の促進Promoting Community and Environment Sustainability」です。ちなみに前々回(2012~2014年)のテーマは「社会経済の平等の促進Promoting Social and Economic Equality」、前回(2015~2016年)のテーマは「人々の尊厳と価値の促進Promoting the Dignity and Worth of People」、そして来年のテーマは「人間関係の重要性の促進Promoting the Importance of Human Relationships」と、人権と平等の促進に価値を置いたテーマが多いようです。それもそのはずです、国際ソーシャルワーカー協会は国連(UN)の経済社会理事会と緊密に連絡とコンサルテーションを行っているのですから。



医療ソーシャルワーカーをしていると、ついつい人権、社会、経済、環境といった大きなテーマから疎くなってしまいます。それは毎日の業務が交通手配、生活保護の申請、心理カウンセリング、と言ったマイクロレベルでの仕事が多く、それこそ過去記事で書いたような「システム理論」なんかをわざわざ使わない限り、個人と社会の繋がりを考える機会なんて、忙しい毎日の業務の中で見つけるのは難しいのです。しかし、かつて私がNPOや国際協力関係の仕事で働いていた時は、人権や「持続可能な社会開発」なんて事をしょっちゅう考えていたなぁ~と懐かしくなります。



(安定した)公共の病院という職場で働く私には、もう資金調達書、助成金申請書、プロジェクト提案書なんていうクリエイティブ(?)な仕事をすることは皆無となってしまいましたが、NPO時代、国際協力関係時代は、ほんと毎日のように資金調達書やプロジェクト案なんかを書いては、どうにかして団体やプロジェクトの予算を確保しようと躍起になっていました。そんな資金調達書やプロジェクト案を書く中で、必ず「人権」「持続可能」「差別」「社会構造」「マイノリティ」などというキーワードを入れなければいけないので、頭の中はいつも社会変革のことで一杯でした。その当時は、こんな申請書ばっかり書いて、予算の心配ばかりする仕事は嫌だぁ~!もっと直接的にクライアント・コミュニティワークがした~い!と願ったものですが、実際今のようなマイクロレベルの仕事をしていると、あの当時のクリエイティブなメゾレベルな仕事がした~い!と思ってしまうのですから、人間とは贅沢で不幸なものです。



しかし、これこそが私が感じるソーシャルワーカーの悲劇(?)でもあるわけです。私はNPO、国際協力、医療ソーシャルワークという同じソーシャルワークの仕事でも分野もレベルも違う仕事をしてきたのですが、どの仕事も基本「困った人の生活の向上」を目的としているわけです。しかし私には今ひとつソーシャルワーカー同士の横の繋がりが強くない気がするのです。NPOはNPOの世界、国際協力は国際協力の世界、医療は医療、児童保護は児童保護・・・という風に、それぞれが独立した分野・問題としてソーシャルワーカー達も分離して働いているように思えるのです。しかし実際はソーシャルワーカーが扱う問題のすべては、人権と平等の問題へと繋がるわけで、それゆえ理想としては全ての分野で働くソーシャルワーカーがそれぞれ協調して問題意識を持ち、世界レベルで問題解決に向けて行動することだと私は思うのです!っと大きな事を言ったのですが、じゃあ具体的にどう世界規模でソーシャルワーカーが協調するのさ?って話しは私に聞かないでくださいね(汗)。



でも考えてみれば、その為の「世界ソーシャルワーカーの日」なのかもしれませんね。私もこうして改めて「持続可能なコミュニティと環境の促進」とか人権について考えているわけですし。ただこの大きなテーマを実際どうマイクロレベルの医療ソーシャルワーカーや児童保護の仕事に繋げていくのか?なんて事を現場のソーシャルワーカー達と話し合える場も出来たらいいのにな~と思います。また同時に、世界で同じように働くソーシャルワーカー達とも意見交換できる機会があれば、もっと世界的にソーシャルワーカーの認知も広がり、そしてそれ以上に私たちソーシャルワーカー自身の職業に対する誇り・自信・やる気といったようなポジティブな感情も高まるのになぁ~と思います。あまり盛り上がりを見せない、この「世界ソーシャルワーカーの日」ですが、私たちと同じように患者さん・クライアント・コミュニティの人々の幸せのために日々悩み・苦しみ・喜びながら働いているソーシャルワーカー達が世界中に何万といるんだ!と想像を膨らませる事は、少なくとも私の職業使命を刺激し、「さ~僕もがんばるぞ!」という気にさせてくれます(単純なので私・・・)。という事で昨日の「世界ソーシャルワーカーの日」万歳~!


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