さよなら台北(のお風呂)
3日間の台北観光はあっという間に終わってしまいました。でもホテルの部屋の素晴らしいお風呂を中心として毎日20kmくらい市内を歩き回ったので、心身共に凄く充実した旅行でした。一人旅をする時は、適当に行き先を決めてブラブラ歩くのが最高。たまに迷い込んでしまった街の路地裏こそ庶民の日常生活が垣間見れてワクワクします。あと路地裏でダラけている犬を見るのも興奮(?)します。台北にはデブな犬が多く寝そべってます。暑いから!?
さて台北は夜市で有名ですが、夜になると街の至る所で屋台がならび、日本の夏祭りさながらの光景が繰り広げられます。昨夜は4つの夜市を「はしご」して、屋台ならではの台湾版ファーストフードを楽しみました。夜市の1つに広州街夜市という所があって、これは台北で御利益が一番と謳われている龍山寺というお寺の隣にあるのですが、この龍山寺、電飾ネオンで彩られていてパチンコ屋・カジノ屋顔負けなぐらいド派手なんです。おまけにお寺の中にはATMもあったりして、なんて便利なんでしょう!お賽銭を忘れてもすぐお寺でお金が引き出せるんですよ。このような商魂たくましいお寺なら、確かに金運は上がりそうだと妙に私納得しちゃいました。もちろんお参りもたっぷりして、宝くじ当選のお願いをしてきましたよ。
(↑ATMがドーンと置かれて購買意欲を刺激する)
宗教も所変われば、神様の捉え方も祈り方も違って楽しいですね。こんなお寺日本でオープンしたら「生臭い寺だ!」と非難されるでしょう。でもここ台湾では御利益一番のお寺。逆に日本の趣のあるお寺は、こちらの人から見たら色が無くて貧素で御利益なさそうだね!って思われちゃうんでしょうかね?ATMだってお寺の中にはないからお金もなさそうだし…
こんな風に文化の違いで「見方」が真逆になってしまうのを発見するのが私大好きなんです。これぞ旅行の醍醐味。もしかしたら私がカナダに長く住んでこられたのも、この文化の違いを発見する毎日があるからかもしれません。
台北では日本の植民地統治時代の名残を多く見ることができます。台湾総督府の建物や、国立台湾大学のキャンパス、紀州庵と呼ばれる日本家屋などなど、日本人には懐かしい感じのする遺物をあちこちで目にする事が出来ます。実は私、前回台湾を訪問した時に、台湾人ソーシャルワーカー達に、なぜ台湾では日本の統治時代の建物を壊さず残しておくのか?を聞いたことがあります。すると彼らは、台湾には良いと思うものは残す文化があると言いました。つまり植民地時代の遺物でも価値があるものは無闇に壊さず残して実利を取るという考えらしいのです。そう考えれば先ほどのお寺の電飾もATMも納得です。
このメンツを取るか実利を取るか、というジレンマは私たちソーシャルワーカーの仕事においても常に付きまとう価値観の問題です。例えば、私の患者さんに生活保護の申請を頑なに拒む方がいました。彼にとっては生活保護を受給する事は「メンツを潰す」ことであり、その為に生活が苦しくても生活保護は受けたくないと言うのです。しかしソーシャルワーカーの視点から視れば、生活保護はその患者さんの生命線であり、生活保護なしには彼の生活が立ち行かなくなるのは明らかでした。結局、生活保護を受けて生活を立て直すことがいかに必要で、いずれ生活が安定すれば生活保護から抜け出す(?)事が出来るはずだからと説得して実利を取る決断をしてもらいました。でも同時に、常に実利を優先させれば良い!って訳にいかないのが人間相手のソーシャルワークの難しい所です。だって人にとってメンツ・プライド・誇りって、人間らしく生きる為には必要不可欠なものですしね。だからメンツも保って実利も得る!ってのが理想ですけど、人生そうそう上手く両方は手に入れられないんだよな。。。
・・・なんて事を頭の中でグルグル考える事が出来るのも、ひとりブラブラ旅の醍醐味であります。友達とのワイワイした旅行も楽しいですが、内向的な私は、こういった1人の時間をたっぷり楽しめる1人旅もマッタリしてて落ち着くのです。
しっかり歩き、たくさん考え、いっぱい食べた後は…そう、今回の旅における至福のひととき、入浴を楽しむのでした。ホテルのチェックアウトの時、何が悲しいってこのお風呂とお別れしなければいけない事です。こんなお風呂が家に欲しい!本当に欲しい!さっさとチェックアウトして空港に向かわなければならないのに、名残惜しくてお風呂からいつまでたっても出られなくて困ってしまいましたよ。「電飾ネオン寺」龍山寺でお願いした宝くじが当たって、バンクーバーのアパートにあのお風呂とウォシュレットのトイレを手に入れるのが、今の私のささやかな野望です(笑)。さよなら台北(のお風呂)、また入る日まで!
(↑そして最後はやっぱりお風呂…欲しい!)
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