ソーシャルワーカーの職探し カナダ版


先週からの時差ボケからやっと回復しました!でも、月曜日の職場の朝は時差ボケ関係なく眠い・・・


さて、皆さんの中でどれだけの人がカナダでの就職に興味があるかどうか分からないのですが、最近、うちの病院のソーシャルワーカー募集が増えてきたので、もしかしたらと思って今回は「カナダでのソーシャルワーカー職探し」について書いてみようと思います。



まず、ずばりカナダで就職するために一番大切なのはなんでしょう?


それは・・・コネです!



これ冗談なんかじゃありません。私はカナダに移住して以来、コネのもつパワーを見せ付けられ、そして私自身もこれを利用して仕事を得てきたのです。日本で「コネ入社」と言えば、会社役員の無能なご子弟が、入社試験をすっ飛ばしてちゃっかり腰掛け入社した~!っていうようなネガティブなイメージがあると思うんですが、ここカナダでは違うんです。なんと「コネ入社」=「能力がある」みたいにとってもポジティブイメージなんです。いや、本当に!



さて、そもそも「コネ」ってなんでしょう?これはConnectionから来ています(って知ってるよ!?)。つまり人との繋がりで仕事を紹介・斡旋・融通してもらうことを指すのです。どのようにしてカナダが「コネ大奨励」社会になったのかは知らないのですが、私が推測するに、カナダがコネを重視する理由に信用問題があるのだと思います。カナダは言わずと知れた多文化・移民国家。様々な国から来た人が、様々な職歴・学歴を持ってカナダに移り住んできたのですが、それゆえに、その人が持っている職歴・学歴が実際どの程度「使える」モノなのかを判断する統一基準に欠けるという問題が生じます。



例えば日本だったら、「東大が一番(?)」といったような暗黙のルールが社会には存在し、そのような統一された学歴観なんかを一つの判断基準として採用に生かしています。また職歴に関しても、日本の社会で働いている限りは、だいたいどこの会社も「労働基準」「労働倫理」「労働規則」といったものは共通しているので(ブラック企業の度合いは違えども・・・)、ある程度の「社会人常識」は仕事を通して身についているはずだ、という前提があると思います。しかし、ここカナダにおいては、Aさんが卒業したインドの大学がどの程度の教育レベルか確かめることは難しく、Bさんのロシアでの職歴がカナダ基準で通用するかどうかなんて事も分かりません。私が日本でやったコンビニのアルバイト経験だって、カナダのコンビニで役に立つのかどうかなんて事は雇用者にも労働者にも分からないのです。その為、この人は信用できるのか?雇って大丈夫なのか?という根本的な不安が、「どこの馬の骨か分からない」寄せ集まった労働者を選ぶ雇用者側にはあるのだと思います。そういう点で、すでに会社・組織で働いていて、信用も実績も積み重ねている自らの社員・職員からの推薦者なら、安心して採用する事が出来る、ってのが恐らくカナダ社会がコネを好む理由だと私は思うのです。おまけにコネで採用なら、社内の推薦者が必然的に保証人にもなるわけですから。



そんな訳でコネ採用が公然と推奨されているカナダにおいて、ソーシャルワーカーの職探しにもコネは重要な役割を果たすのです。一般的に、カナダで医療ソーシャルワーカーの仕事を探す時には、それぞれの保険局、もしくは病院のウェブサイトに入って「キャリア」「採用情報」といったページから外部募集の仕事を検索します。だいたい保険局はいつでも医療ソーシャルワーカーを探しているので、何らかの仕事(例:非常勤や短期契約の医療ソーシャルワーク職)を見つける事が出来るはずです。そしてそのまま「応募する」に進めば、そこでCVと呼ばれる履歴書をCover Letterと呼ばれる自己紹介文と一緒に添付させるか、オンラインフォームに学歴・職歴・自己紹介文を書かせるかのどちらかの方法で希望の職種に応募・Applyできるはずです。あ~後はこれで採用面接のお誘いを待つだけ~と思ったあなた!カナダの採用現場はそんなに甘くないのです!!!!!!!



2010年から2012年までベトナムで国際協力の仕事をした後、私はカナダに戻ってきたのですが、当然ながら仕事探しをしなければいけませんでした。当時、特別に医療ソーシャルワーカーになりたい!と思ったわけではないのですが、お金も必要だったし、他に出来そうな仕事も無かったので、過去の実習経験を生かすためにも医療ソーシャルワーカーの仕事を中心に職探しをすることにしたのです。バンクーバー市および近郊の保険局・病院のホームページから医療ソーシャルワーカーの仕事を見つけては片っ端から応募したのですが、一ヶ月経っても二ヶ月経ってもうんともすんとも連絡が来ません。あらら、これは困ったな~とさすがに三ヶ月目に入ると焦ってきます。まさか、このままソーシャルワーカー業からも強制退職、永遠の無職になってしまうのか!?とあまりにも手ごたえの無い求職活動に不安がどんどん増していくのでした。



そんな時、私の知り合いが「この間、知人のソーシャルワーカーにシンペーのことを話したら、彼の休暇をカバーしてくれる非常勤ソーシャルワーカーが必要だから、履歴書を彼の上司に送れって言ってたよ」と助け舟を出してくれたのです。早速言われたとおりに私は履歴書をそのソーシャルワーカーの直属の上司に送ったら、なんと次の日には連絡が帰ってきて、来週には面接に来て頂戴!ってとんとん拍子に事が進んでいったのです。そうして面接も無事終わり、翌日には合格の連絡を頂いて、気が付けば今の私があるわけです。



でもよく考えてみたら私、この非常勤の仕事にかつてオンラインで応募していたんです。採用された後、その上司の人に「私、この仕事にずいぶん前にホームページから応募してたんですよ」って話したら、「あらダメよ、オンラインから応募したって。ここの人事部すごい仕事遅いんだから、私の手元に履歴書なんて届かないのよ~」と仰るではないですか!また同僚達も、外部募集をオンラインから応募したら何ヶ月も待たされる上に、下手したら履歴書だって無くされることもあるんだからさ、となんとも驚愕の事実を教えてくれるのでした。そして皆、そろいも揃って「仕事に応募したかったら、直接その科のマネージャーか、医療ソーシャルワーカーの部長宛に履歴書送ったほうがいいよ」とアドバイスをくれるのです。そして実際、マネージャーもソーシャルワーク部長も「あ~人手が足りなくて大変。もっと採用したいのに、応募する人がいないのよ~」などとのたまうのです。え~!!!じゃー私があんなにいっぱい送った履歴書の数々も人事部止まりでゴミ箱行きになっちゃったわけ!?



そんなショックを受けて叫んだ私の心の声が届いたのか、それからと言うものチラホラと採用面接案内が来るようになったのです。でもいつも「シンペーさんですか?私○○病院のソーシャルワーク部長の○○ですが、この間あなたが応募した件で、面接したいんですが」って感じで電話が来るんですが、この「この間」って3ヶ月以上も前に応募したものなんですが?(怒)さらに酷い時などは6ヶ月も前に応募した件で「あなたが先日応募された・・・」と連絡が来て、カナダでは6ヶ月前でも先日なのかぁ~!?!?と怒りに震えたりしたこともありました。とにかくこの就職活動から学んだ事は、正攻法で人事部経由で採用応募しても、無駄に手間と時間がかかって、おまけに自分の履歴書がしかるべき人に届くという保証も無い!というトンデモナイ現実なのでした。



しかしだからと言って、自分の履歴書を直接しかるべき人に送りたくても、内部で働いてない限りしかるべき人に履歴書を送る送り先も、連絡を取る電話先も分かりません。そしてこんなとき「コネ」が大活躍するのです。いろいろな人に知り合いがいれば、その知り合いがそのまた知り合いに頼んでしかるべき人を見つけたり、紹介したりしてくれるので、こちからから積極的にアプローチして自分をアピールすることも出来るのです。でも、知り合いが少なければ、当然ながらしかるべき人とコネが出来るチャンスも小さくなり、就職活動はどんどん長引いていく・・・という負の循環に陥るのです。



つまり、なぜカナダで「コネ入社」=「能力がある」になるのかは、それはコネがあるということは、それだけその人がいろんな人と繋がっている、すなわち人との繋がりを築ける能力がある、と見なされるからです。また仕事を得るために積極的に人と繋がり自分を売り込むその姿勢・努力も雇用する側から評価される理由です。そういう点で、カナダにおける就職活動では、まずはコネ作りから始める!というのが鉄則となっています。



こう見ていくと、日本の「コネ入社」はどちらかといえば縁故入社、カナダの「コネ入社」は推薦入社という風に区別する事が出来ると思います。そんな訳で、もし皆さんがカナダで医療ソーシャルワーカーの仕事を探す場合には、どうぞお気軽に私にもご連絡ください~!え?いいんですかそんな簡単に引き受けちゃって?と思われますか?いえいえ、このくらいどんどん強引に手当たり次第にちょっとでも知ってる人にアプローチをかけるくらいじゃないと、カナダでコネなど簡単には作れないのです。内向的な私や、適度な距離を重んじる日本人にはなかなか至難の業なんですが、しか~し、カナダで生き残るには郷に従うより他に方法は無いのです(涙)。カナダでの就職活動、なかなか大変です・・・でも、一回仕事を手に入れると次からはすっごい簡単に見つかるんだけどね~。完


カナダでソーシャルワーカー Social Work in Canada

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