バンクーバーの夏祭り
8月最初の連休は、バンクーバーがもっとも盛り上がる時と言っても過言ではありません。と言うのも、イベントの数々が集中投入されるからです。花火大会、パウエル(日系)祭り、ゲイパレード、アニメレボリューション、などなど大イベントがめじろうしで、それを目当ての観光客も世界各国から集まってくるので街中人で一杯です。普段は人混みが苦手な私なのですが、お祭りが生み出すワイワイと興奮した空気は好きなので、この週末は積極的に外に出ました(笑)。
まずはパウエル祭に行ってみました。ダウンタウンにあるパウエル通りはかつてジャパンタウンと呼ばれる日本人街があった所で、パウエル祭は日系の歴史と伝統、そしてコミュニティー発展のために過去40年に渡って開かれているバンクーバーでも有名なお祭りです。会場ではたこ焼き、焼きそば、カレー、かき氷、などの屋台がならび、ステージでは太鼓や日本各地の踊り、武芸なども披露され、さしずめ日本文化の披露会といった感じです。また来場者も日系・日本人のみならず、様々な人が参加していて、多文化社会カナダの良い面を直に感じる事が出来ます。常日頃バンクーバーで生活していると、案外日本人を見ることって少ないんですが、こんな風にパウエル祭に参加してみると、結構たくさんの日系・日本人がいるんだな~と感慨深くなります。またそれ以外にも多くの人が日本文化に興味があるんだと分かり、ちょっと嬉しくなりました。パウエル祭は商業的でなく、皆がボランティアで作り上げた感じの素人(?)ちっくなコミュニティーイベントなので、誰もが気軽に参加できる暖かい雰囲気なのもいい感じです。そんな訳で私は毎年、このパウエル祭には参加しているのです。
(↑お神輿が登場!夏祭りっぽい)
猛暑だったこの連休、パウエル祭を見終えた私は、冷風求めて海岸沿いをフラフラと歩いていたのですが、バンクーバー国際会議場に近づくにつれて、メイドの格好をした白人女性やアニメコスチュームに身を包んだ若者達がぞくぞくと出現するではないですか。そのうち私はすっかりコスプレ集団に囲まれて、まるで普通の格好をしている私の方がコスプレをしているような妙な感じになってきました。そうして彼ら・彼女らが付けているVIPパスを見て、それが「アニメレボルーション」通称Anirevoと呼ばれるイベントの為だという事が分かったのです。それにしても凄いですね日本のアニメパワー。現地のティーン達が普通にコスプレして日本のアニメキャラになりきって楽しんでいるのを見ると、パウエル祭とは又別の意味で、カナダでの日本文化浸透を目の当たりにして感慨深くなりました。そして何万人も収容できるバンクーバー国際会議場がいっぱいになるくらいのアニレボ参加者数・・・恐るべしアニメの力!これぞクールジャパン!笑
そんな文化的体験(?)の後、今度はバンクーバーの花火大会へと出かけました。バンクーバーの花火大会は、土曜日、水曜日、そしてまた土曜日にと3回に分けて行われます。またそれぞれの花火は毎回代表となる国が行います。例えば今年だと、最初の土曜日は南アフリカ、水曜日はスウェーデン、そして最後の土曜には韓国が花火を打ち上げました。去年は日本も代表となって、なかなか大きな花火を打ち上げて評判になりました。またバンクーバーの花火大会はただ花火を打ち上げるだけでなく、音楽とあわせて、シンクロさせるのが特徴です。なので30分という短い間に、音楽に合わせて花火が打ちあげられ、花火の種類だけでなく、どれだけ音楽とシンクロしているのかを見るのも楽しいのです。そんな訳で、今年も見てきましたよ!残然ながら、今年はどの花火も今ひとつ曲とマッチしていない気がしたのは私だけでしょうか・・・それに花火もちょっと小さいのが多くて迫力に欠けてたし・・・あ、そうそう色も形も不揃いだったな~・・・な~んて、何年も花火を見ているので、私もすっかり即席花火批評家になってしまって、ついつい辛口になってしまうのです。こんな風に花火の批評を垂れるのもまた私の中では夏の風物詩なのでした(笑)。
さて花火も終わり、その次の日はゲイパレード。これは40年前に、当時差別的風潮の中で抑圧されていたLGBTの啓蒙活動とコミュニティーの結束を図るために行ったものですが、このパレードも今やすっかりバンクーバーの一大イベントとなりました。今年も60万人以上の人出が見込まれていて、パレードが行進するダウンタウンは見物客でいっぱいです。またパレードに参加する人も、LGBTを代表するレインボウ旗や風船で山車を飾ったり、派手なコスチュームで着飾ったりと、みんな楽しそうで見ていて飽きません。さらに、パレードの最初にはカナダのジャスティン・トルドー首相も飛び入り参加して見物人から大きな喝采を浴びました。トルドー首相の話の後に恐縮なのですが、実は私も過去にこのパレードに参加した事があるんです。それは2004年に私がエイズ予防団体NPOに勤めていた時で、この時はエイズ予防・啓蒙とアジア人マイノリティーの地位向上を目標としてNPO職員・ボランティアが山車を一週間以上かけて作り、みんなでパレードに参加したのですが、2004年当時は、まだまだゲイパレードに対する偏見もあり、パレードに参加して歩くアジア人なんて私達以外皆無でした。その時に比べると、今ではアジア人も含めて様々な人が気軽に楽しく参加できるようになって良かったな~と思います。ただ同時に、本来のマイノリティーの地位向上・啓蒙を目的としたイベントが、段々と商業的なお祭りへと変わっていくようで、少し寂しいような心配になるような気持ちになるのは私がソーシャルワーカーだからでしょうか?しかし、それだけバンクーバーでは多様性が認識・容認されてきたということでもあるので、このように普通のお祭りなることはやっぱり良い事なのでしょう。
(↑ 顔は見えないけど、手を振っている人がトルドー首相 笑)
こうやって振り返ると、この連休のイベントの数々はいずれも多様性をテーマとしたものだったな~と思います。パウエル祭は文化的多様性の尊重、アニメレボルーションは個性の多様性の尊重、ゲイパレードはLGBTを含むマイノリティーの多様性の尊重。この多様性尊重の啓蒙をみんなが楽しめるお祭りという形で訴え働きかける事がいかに効果的であるか!と言うことを、今回改めて私は身をもって感じたのでございます。コミュニティーの一体感を図るこういうお祭りっていいな~楽しいな~と、かつてコミュニティーで働いていた私は思うのでした。こう言った一体感って、医療ソーシャルワーカーの仕事ではなかなか得られないので、こんな時はふっと「またコミュニティー・デベロップメント(地域開発)の世界で働いてみようかな~」なんて気持ちにもなって、私の落ち着かない心はさらに揺れ動くのでした・・・っていうより、ただ単に連休明けで仕事に復帰したくないだけなのかも・・・笑。
そしてこの連休が終わると、バンクーバーは秋、そして冬に向けて一気にゴロゴロと転がり落ちていくのでした・・・あ~夏もあと僅かなんだな~(涙)。そんな晩秋の思いを、8月の初旬に感じるネガティブ思考の私なのでした。おわり。
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