クッキー1枚を巡るおばちゃん戦争
私の職場にKさんという看護師がいます。このKさん、私のブログにも何度か登場しているのですが、直情的、感情的、「猪突猛進」的な性格で、私が今ひとつ苦手とするタイプなのです。そんなKさんなんですが、ひょんなことから(過去ブログ参照)私のいるソーシャルワーク部屋に移動となり、去年の夏くらいから同じ部屋で、おまけに真隣の席で仕事してるんです。これ私的には結構きつくて、普段は湖面の水のように静かに落ち着いている私の感情が(ホントかよ?)、Kさんが私の真横で仕事をするようになってからというもの、まるで日本海の荒海のように感情が揺さぶられて(=おもに怒りとイライラ感)、ぜんぜん落ち着いて仕事が出来ないんです!これではいけない!と思い、同じ場所&時間を共有しないよう、Kさんがソーシャルワーカー部屋で待機している時は、なるべく透析科に行って患者さん達とお話しするようにしています。お陰でKさんが移動してきて以来、仕事がずいぶんとはかどるようになりったんですよ。あら~じゃ良かったじゃん!って思ったあなた!それは違います。だってそれじゃ~私がソーシャルワーカー部屋でだべってゆっくりする時間がないじゃないですか!!!あーイライラする。
・・・という感じで、私はもう「Kさん=イライラする」というパブロフの犬のように条件反射してしまう今日この頃なのですが、では一体Kさんの何が私をそんなにイラつかせるのか、ざっとここで解説してみましょう。
1)風邪を引いているのに出勤してくる
ちょっとした鼻かぜならともかく、ゲホゲホ・ゴホゴホ・へ~っくしゅん!させながら、おまけにマスクもしないで真隣で仕事される私の気持ち分かりますか?っていうか患者さんにうつしたらどうすんの???と思ったので、何度か「Kさん辛そうだし休んだら?」と言ってみたところ「しんどいわ~でも頑張る。応援ありがとう」と返ってきます。いやいやそうじゃないし!とムカついた私は「頑張らなくていいから休みなよ。それに患者さんや私たち(強調!)にもうつっても困るし。ね、だからもう帰って!」ともうここまで来ると私の口調もすっかり意地悪でいびっているように聞こえます。しかし敵もさる者で「・・・だって休めないんだもん」と言うのです。「え!?どうして?なんで休めないの???」と私は詰問口調で攻め立てます。するとKさんは「だって病欠全部使っちゃったんだもん・・・」とあまり悪ぶれた調子もなく言いました。えぇぇぇ!?どうして年24日以上もらえる病欠がもうないわけ?それってズル休みで使っちゃったんじゃないの?病欠ないなら有給つかえよ!と私はどんどん辛らつになっていきます。これじゃまるで私が根性のひん曲がった人みたいじゃないですか。ですからそんな思いはゴックンと飲み込んで、言葉に出ないように頑張りましたよ。「・・・んじゃ~しょうがないね・・・でもマスクはしてね」とだけ言って部屋を出て深呼吸。は~しんどい。でも結局Kさんは一度もマスクを付けることはなく、おまけに風邪を引いてる間は休まず皆勤賞。そして風邪がやっと治ったかと思ったら「私来週から一週間カリブにバケーションに行ってきま~す!」と元気に出発。そんなKさんを横目に見ながら、私はKさんから貰った風邪を背負ってヨーロッパへバケーション・・・・・・・ありがとうKさん。
2)仕事中にゲームをする
Kさんの仕事は腎臓透析患者さんに腎臓病や透析の情報提供・教育すること。でもなんだか暇そうです。だってわざわざ自宅から業務には必要ない個人用タブレットを持参してゲームをピコピコやっているからです、酷いときには一日中・・・職場で(強調!)。これ堂々とやっているのなら私も許せます。肝が据わっていてこのおばちゃんやるな!ってむしろ尊敬しますよ。でもKさんは違うのです。タブレットはつねに書類の下に隠し、コソコソとゲームをするのです。そして人が事務所前を通る度にビクッとさせて、ササッとタブレットを隠し、じっと息を潜めて人が通り過ぎるのを見届けると、またピコピコとゲームに戻るのです。まるで中学生の時の私です。親が私の部屋の前を通るたび、ゲーム機を参考書で隠して勉強してるふりしてました・・・ってそれは自宅だからいいんです。でもここは職場ですよ!仕事しろ仕事!と普段はエラそうに言えない私だってさすがにゲームなんて職場でやりません。最初はわりと私に気にせずゲームをしていたKさんだったのですが、私の「てめ~ゲームしてんなよ、仕事しろ!」っていう殺気立った視線に気が付いたのか、最近は私にも隠れるようにゲームしてます。バレバレだけどね(ピコピコ音立ててるし)・・・そしてその小賢しさがまた私をイラつかせるという悪循環。だって中学生時代の小賢しい自分を思い出して恥ずかしくなるんだもん。あるとき遂に私は「Kさん、そのゲームそんなに面白いんですか?」と挑発してみたら、Kさん「え!?あ、こ、これ?気分転換にちょこっとやってるの。頭を柔らかくするために・・・」と動揺しつつ答えます。頭柔らかすぎだろ!!!と思った私はもうすっかり意地悪な人になってます(口には出さなかったけどね・・・)。
3)人の話に口を突っ込んでくる
噂好話好きのKさん、すぐにソーシャルワーカーの話しに首をつっこんで来ます。どうやらソーシャルワーカーのディブリーフィングを噂話かなんかと勘違いしているようです。確かにワーカーどうしで患者さんの問題を話し合いますよ、時々ブラックユーモアも交えながら。でもこれは噂話じゃなくてワーカー同士の知識交換やサポートのためにやっているプロフェッショナル行為なんです。そこんとこ分かって欲しいんだな~。でも話に飛び入り参加するKさんは自分の断定的意見を挟んできて公然と患者さんを非難します。これではディブリーフィングもすっかり単なる噂話になってしまいます。そうなると患者さんの立場も守らないといけない!と勝手に義憤にかられて私もだんだんカッカきてKさんの断定的意見を否定しにかかります。そうするとKさんは自分が攻撃されたと勘違いして(してないけど・・・)、感情的に私に食いかかってくるか、もしくはふて腐れるのです。そうこれが私にとっての最大の悩み。↓に続く
4)すぐ感情的になって被害妄想に陥る
Kさんは実はとても繊細な人だと思います。とくに仲間はずれにされたり、攻撃されることに敏感です。過去に辛い目にあったと語ったことがあったので、恐らくそのトラウマが影響しているのでしょう。ただその繊細さ敏感さが逆に争いを招く事も多いのです。例えば、かつてKさんは職場では禁止されているアロオイルを焚いてひと悶着起こしたことがありました(過去ブログ参照)。職員や患者さんの中には臭いアレルギーを持っている人がいるので、強い香りのする香水などはつけてはいけないのですが、Kさんはアロマは慢性喉炎のためだと主張して香りの強いアロマを焚き続けていたのです。これにアレルギーのある看護師達が「やめて欲しい」とKさんに頼んだところ、Kさんはこれを集団攻撃と受け取り、それ以来看護師達に好戦的な態度で接するようになりました。気の強い人が多い看護師集団。好戦的にやられたら当然やり返します。そうなるとKさんはますますカッカと怒りに支配され、組合、マネージャー、さらにその上のマネージャーへと苦情を出し、問題解決どころかカオス状態。どんどん職場で孤立してしまうという悪循環。Kさんはそんな怒りを延々と(私以外の)心優しいソーシャルワーカー相手に吐き出し、時には泣きながらいかに自分が不条理に扱われているかを訴えるのでした。こんな事がしょちゅうあると、ただでさえ患者さんの怒り、悲しみ、不条理な態度に対応し、感情労働に疲れ気味なソーシャルワーカーなのに、ソーシャルワーカー部屋で同僚のカウンセリングまでしなきゃいけないなんて、さすがに私達も限界になります。私はいつかKさんにAnger Management アンガーマネージメントの心理トレーニングを受けてみたら?と提案してみようかと思っているのですが、これ逆にKさんの怒りの火に油を注ぎそうで躊躇してしまいます。
さてそんなKさん、今回もひと悶着やらかしてくれました。
Kさんには一人の天敵が職場にいます(私以外にも 笑)。それは事務のおばちゃんAさんです。かつてAさんとKさんは大の仲良しだったのですが、例のアロマオイル事件で仲が決裂します。というのもAさんも臭いアレルギーがあって、Kさんに「そのアロマやめてくれないかな?」とお願いしたところ「Aさんあんたも看護師の味方なの?ひどいんじゃない!?」となり、気の強いAさんも「なにその言い草?実際臭い強いんだし、そういうの禁止されてるの知ってるんでしょ!?」となって、「もうあんたなんか嫌いよ!」となってしまったのです。それ以来AさんとKさんは無視をしあうという冷戦状態に突入。そんな2人に先日事件が勃発します、その名も「クッキー事件」。その日Aさんは自家製のクッキーを焼いて持ってきました。Aさんのデスク近くにいる看護師長、事務仲間のBさんCさん、そしてそのあたりをたむろしていた看護師達にも配ります。そんな中、Kさんもその辺をうろうろしていたのです。それを知ってか知らずか、Aさん、Kさんにはクッキーをあげなかったのです。これにカッとなったKさん「なにこれ?私だけ無視するって気なの?でもこんな不味そうなクッキーいらないわ!」とAさんに聞こえるように大声で悪態をついて透析科から出て行きました。これにムカついたAさんは、マネージャーに「仲良く働く職場規定」に違反するとクレームをつけ、とうとうAさんKさん共にマネージャーに呼び出されることに。
こうしてマネージャーが仲介者となりAさんとKさんが対決・・・じゃなく対話することになりました。
Aさん「Kさんが私に悪態をついたんです!」
Kさん「Aさんが私にだけクッキーをくれなかったんです!」
マネージャー「仲間はずれにしたAさんも、悪口をいったKさんも両方悪いわね。お互いに謝りなさい」
Aさん「クッキーあげなくてごめんなさい」
Kさん「悪口いってごめんなさい」
・・・って感じで仲直りしたそうです。これ私の作り話じゃないですよ、本当に!そうやってKさんが皆に話してたんですから。そしてKさん意気揚々と「ムカついたけど、これ以上揉めるのもウンザリだから、私から謝ってあげた」と嬉しそうに語っていました。
そしてその翌日・・・
反省(?)したAさんは、わざわざクッキーを焼き直してKさんにあげたのでした。それを受け取ったKさん大喜びで「これでやっとお互い分かり合えて仲直りできたわ~」とはしゃいでいました。「でも、そのクッキー食べて大丈夫なの?毒でも入ってるんじゃね?」と言いそうになる言葉を飲み込んだ私は、やっぱり意地悪ソーシャルワーカーなんでしょうかね~?(笑)
良く言えば素直、悪く言えば短気単純なKさん。やっぱ苦手です、このタイプ。なんでだろうな~と自問する日々が続くのですが、もしかして私と似てるから!?いやいや、そんな馬鹿な。それはありえません・・・よね?
さてそれにしてもクッキー1枚ごときで揉める医療現場・・・ここは小学校か!と叫びたくなる感情に駆られます。いやホント驚くくらい幼稚です。そしてこんなことの仲裁させられるマネージャーにも同情です。しかし人間って案外成長しないものなのかもしれませんね。私だってすぐイライラして大人対応できなくなりそうになるし。私こそアンガーマネージメントのトレーニング受けたほうがいいのかも。ま~それにしても常にこんなくっだらない争いが起きるカナダの職場・・・っていうかうちの病院だからなのか?それともまさか日本の職場でも・・・・・・?
という訳で、私のブログもすっかり噂話&愚痴大会になってしまいました。でも吐き出してちょっとスッキリした~。つづく(つづいて欲しくない!!!笑)
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