今年は厄年なのか!? 前半

皆さん、大変しばらくご無沙汰しております。一応まだカナダで医療ソーシャルワーカーをしているシンペーです。ん?なぜ一応なのかって?それは・・・色々あったんですよここ数ヶ月(っていうか一つだけど)。打たれ弱い私にとってはまさに地獄のような日々・・・それをぜひ今回ここに書かせてください!デブリーフィングと言う名の私の愚痴を皆さんに聞いてもらいたいんです(笑)



さて私の半消滅ブログを読み返してみれば、最後にアップデートされたのが3月。「ソーシャルワーカー感謝祭」についての記事でしたね。ソーシャルワーカーの同僚とポットラックなんぞという洒落た持ち寄りお食事会なんて開いたりして、今から思えばあの頃はなんて平和だったんでしょう。そして4月には日本旅行を楽しみ、意気揚々と帰ってきた私。そして職場復帰初日・・・あら?なんかおかしいぞ・・・腰が・・・痛い。



遊び疲れか?それとも休暇明けで仕事を張り切りすぎたせいか?それとも職場のボロ椅子に座ったまま変な格好で延々うたた寝したせいか?(仕事を張り切ってんじゃないのか!?笑)と思っていたのですが、腰の痛みは日に日に強くなり、そして右足の脛まで痛くなる始末。だんだん歩くのも苦になってきて明らかに今までの腰痛とは何かが違うのです。



そんな5月のある日、私は腰痛の気分転換にと友達と映画を見に行ったのですが、映画館の椅子に座ったままの2時間はとにかく腰に悪いんです!と気が付いたのは映画が終わった後。腰がジンジンします。こりゃいかん!腰伸ばさなきゃ!と慌ててその場で変な格好のまま座りながらの前屈ストレッチ。「うぎゃ!」と腰が声を上げたように私には聞こえたのですが、どうやら声を上げたのは私だったようです。なんだかとってもいけない事をしたような感覚がゾゾゾと腰からやってきます。「イタタタタ」立つのも辛い。やべ~ぜったいやべ~よ、何か痛めたよ~、と確信した私。そして予想通りその晩は、どんな体勢をとっても腰どころか足もつったように痛くて全然寝れないんです。横向きになって足をY字に上げると痛みが幾分やわらぐのですが、そもそも体の硬い私がそんな体操選手のような格好で寝れるわけがありません。枕を重ねて股に挟んでみたり、埃をかぶってた巨大ぬいぐるみ「クマのプーさん」を引っ張り出して股に挟んでみたり、折りたたみ椅子を股に挟んでみたりと色々なものを股の間に入れてみたのですが(あら?なんか変な表現)、やっぱりちょっとでも動くと足と腰がピキーン!となって眠れないのです。一晩中寝れないって本当に辛いですよね。気が狂いそうになります。しかも平日だから明日は仕事にも行かなきゃいけないのに・・・ううう。眠れぬまま朝4時半を過ぎ、心身ともに疲れきった私に浮かんだアイデアは「そうだ、緊急外来に行こう!」。そう決めるとタクシーにのってご近所の総合病院の緊急外来に行ったのでした。



普段患者さんから「緊急外来で8時間も待たされたよ~」なんて恐ろしい話を聞かされていたので、こんな座る事もままならない状態で8時間も待たされたらどうしよう・・・とドキドキしながら緊急外来受付に行ったのですが、なんてラッキーなんでしょう!待合室には私以外誰もいません。そして奇跡の待ち時間0分を記録し、すぐに医者に見てもらうことが出来たのです。「とにかく腰が痛くて眠れなくてしんどいんです」と訴えると、「うん、じゃーモルヒネだしてあげる」とドクターは言うのです。え?モルヒネなんてそんな簡単に出してもらっていいの?とこれまたモルヒネ中毒に陥ってしまう患者さんを多く見てきた私は思うのですが、え~い!いま痛いんじゃい!痛みが治まるならモルヒネでもなんでも飲んでやれ!という私のInner Voice(心の声)にしたがって「ありがとうございます」とありがたくモルヒネ1週間分を貰ってきたのでした。そのモルヒネの効果は・・・すげ~効き具合!こりゃ病み付きになるのもしかたがないやね~と不謹慎な考えが浮かぶほど、ス~と痛みが引くのです。そんなモルヒネのお陰もあって、それから一週間はちゃんと寝れるようになったのです。



この緊急外来のドクターからも、私の家庭医(GP)からも、理学療法(PT)に行くように!と強く勧められていたので、さっそく理学療法に行く事にしました。第一回目のセラピーは主にアセスメントをし、腰痛に効く(正しい!)ストレッチを教えてもらいました。それを一週間続け、そして理学療法第二回目。この日も簡単なアセスメントから始まったのですが、そこで「事件」(いや事故か!?)は起きたのです・・・・・・・・


PTさんが「じゃーまず、どのくらい前屈が出来るかやってみて」と言うので、「はい」と答えて前屈をしてみます。もともと体がガチガチがっちんな私。手が足の膝ぐらいまでしか届かず「イテテテ」となったのですが、ちょっとこれじゃいくらなんでも恥ずかしすぎると思い、PTさんの手前見栄をはった私は、もうちょっとガンバレそうだ、と思い、イチニノサンでエイ!とさらに前屈体勢を取ったのです。「うわぁぁぁぁ」という誰かの、いや私の叫び声が室内に響き渡ります。ビビビビビビビ!!!!!!と電流が身体中に流れるような痛みが襲い「あ、あ、あう、あう、いて、いてて」と声にもなりません。PTさんが「どうしたの?大丈夫?横になる?」と心配そうに言ってくれるのですが、「アウチ、アチアチアチチ、イテテテ」と日英(?)入り混ざった痛みの表現しか出来ないのです。しかも痛すぎて動けない。10分くらいかけて何とか横になったのですが、それでも痛すぎて身動きとれません。PTさんが急いで氷を腰に当てたり、高周波マシーンを当てたりしてくれたのですが、1時間あまり動けないでいたのです。それでもようやく痛みのレベルが10から9.8くらいになった頃、PTさんから「もう大丈夫よ。さー帰りなさい」と促され、本当に大丈夫なのか?ちゃんと帰れるのか?ここから1時間も電車に乗らなきゃいけないのに?とチラチラ不安げな顔をPTさんに振り返り振り返り見せたのですが、しかしそれでも「帰れ!」と言うので私はトボトボと家路についたのでした。



しか~し、やっぱり痛くて歩けない!なんとか理学療法センターから100メートル歩いて、ちょうど職場の病院の目の前まで来たのですが、もうダメです。全身が痺れるように痛くてもうこれ以上歩けません。立っているのも辛いけど、まさか道端で横になる訳にもいかないし、一体どうしよう?と途方にくれて、とりあえず私は電柱に持たれかかってジッとしてみます。そんな息を潜めるようにジッとしている私を病院帰りの患者さんと思しき人々がうさん臭げにチラチラみます。あ、そうか!私、まだソーシャルワーカーの名札と職員IDタグをつけたままでしたよ。きっと電柱の陰で見えないようにサボっているソーシャルワーカーがいるとでも勘違いしたのでしょう。でも今回は違うんですよ皆さん!と叫びたい気持ちを抑えて私はジッと痛みと人々の視線に耐えます。しかしこれじゃー絶対家までもちません。これはもう病院の緊急外来に行くしかありません。しかも幸いなことに緊急外来は目の前すぐそこ50メート先です。Emergencyの看板も大きく見えます。うううううう、でも痛くて動けない。こうなったら最終手段を使うしかない・・・私は大きく息を吸い込んで携帯電話を取り出すと、プルプル震える手で911と打ち込みダイヤルしました。


「はい、こちら救急です。どうしましたか?」と落ち着いたオペレーターの声がします。


「あの、急に腰が痛くなって動けないんです」


「分かりました。今どちらにいらっしゃいますか?住所は分かりますか?」


「えっと、それがですね、あの、私、今、C病院の目の前にいるんです・・・が、動けなくて、本当に一本も動けないんです。それで、救急車をお願いしたいんですが」


「・・・・・・・・・はい。えっと復唱します。病院の前というとどのあたりですか?住所はわかりますか?」


「えっと、だからC病院が住所です。正門前で、ERが目の前に見えます・・・でも歩けないんです!」


「分かりました。ではそこで、じっと動かないで救急車を待っていてください」


「はい、わかりました」


「あ、あと、ちょっと今救急車が込み合っているので、少しだけ時間かかるかもしれませんが、動かずにじっとしていてくださいね!」



とオペレーターの人が言うので、私は引き続きC病院正門横の電柱に持たれかかって救急車を待ちました。目の前の緊急外来から救急車が出るたびに、今度こそ私を助けに来てくれる車か!?と期待したのですが、救急車はサイレンを鳴らしたまま無情にも私の前を通り過ぎていきます。少なくとも10台の救急車は私の目の前を通りすぎって行ったでしょうか。気が付けばさっき911に連絡してからもう30分も過ぎています。だんだん立っているのもしんどくなって足がブルブルしてきます。こうなると明日の新聞記事の一面は「医療ソーシャルワーカー、勤務先の病院正門前で力尽き死体で発見される!(だって救急車が来ないんだもん)」で決まりだね・・・なんていう不吉な予感も頭によぎったりして悲しいような悔しいような情けないような気持ちになります。いやいや、こんな所(C病院)で朽ち果てるわけにはいかない!ぜったい家に帰ってみせる!と自分を奮い立たせると、偶然にも(?)ポケットに入っていたモルヒネ錠を3錠飲んで痛みを強引に押さえ(良い子のみなさんは絶対にマネしちゃだめ!上限は2錠までだよ)、一歩一歩エベレストの頂上を目指すが如くC病院緊急外来へと向かったのでした。50メートルの距離を10分かけて進み、ようやく辿り着いた緊急外来・・・あ~助かった、救われる・・・と思ったのもつかの間、受付係りのお姉さんからの「現在の待ち時間は3時間です」という事務的な声を聞いてそのまま失神しそうになったのでした。



結局4時間待って(本当に死ぬかと思った)、ドクターに見てもらうことができました。しかもこのERのドクター、なんと私の元同僚の夫だったのです。「あー君がシンペーなんだ。うちの嫁から色々と話は聞いているよ」と言われて、その「色々」がどうか良い話であって欲しいとドクターを目の前にして私は思うのでした。ドクターは「僕にして欲しい事は?」と単刀直入に聞いてくるので一瞬「ん?何て言おうか?」躊躇したのですが「痛くて死にそうだからもっとモルヒネ頂戴!」と私は叫んでいました(笑)。


そしてドクターの答えは・・・「いいよ!どれだけ欲しい?」


私「あ、じゃー1週間分で・・・」(良いのかな?)


なんだかカナダって簡単にモルヒネもらえるんだね、と思ったあなた!それがそうでもないみたいで、看護師からモルヒネを待合室で渡される時はヒソヒソ声で「はい、これお薬よ」と聞き取れない声で言うので、「え?なんの薬ですか?」と聞き返したら、またヒソヒソ声で「だから~モルヒネよ」とモルヒネのところを特に声を低くして言うのです。そんな感じなのでやっぱり簡単には出さない薬みたいで、また回りの人にも聞かれたくないみたいです。でもそうなると、これってやっぱり飲んじゃいけない薬なんじゃ・・・とモルヒネ飲むたびに罪悪感を感じるようになるのです。



それにしてもこの優しいドクターはモルヒネだけでなく「病欠も取りたいでしょ?何日欲しい?」と聞いてくれるのです。ここでも私は「あ、じゃー1週間分で・・・」と言うと、まるまる1週間分の病欠診断を出してくれたのでした。お陰でゆっくりモルヒネと共に1週間休んだら、腰の痛みはかなり引いてモルヒネも卒業できました。めでたし、めでたし・・・なんて、これだけで済むんだったら私のブログは要りませんよ。これはまだまだ序章のようなもの。本当の地獄の日々はこれからだったのです(涙)・・・ つづく


カナダでソーシャルワーカー Social Work in Canada

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