東京の暑い夏とベトナムの思い出
蒸し暑い東京がついに到来。夏ですよ夏。本当に久しぶりに体験する蒸し暑い日本の夏。
いやいや、でも考えてみれば、私の故郷松本は、こんな東京みたく蒸し暑くはなかったな〜。日中はカラッと暑く、でも夜には涼しい風が吹く。少なくとも私が松本に住んでいた20数年前はそうだった・・・だから家にクーラーなんてなかったもんね。でもここ東京でクーラーがなかったら蒸し焼き地獄です。つまりこれから始まる東京の蒸し暑い夏は、私にとっては初めての経験となるのです。
考えてみれば、私は毎年1〜2回は日本に帰省していたのですが、夏に帰省したことは全くありませんでした。それはなぜかって?理由は単純。バンクーバーの夏が素晴らしいからです。
まず気候が素晴らしい。6月から8月にかけてのバンクーバーはほぼ毎日晴れ。気温は平均で25度くらいで湿気はなし!だからカラッとしていて気持ちよく、しかもいい具合に海風が吹いてくるのでジトっとした汗もかきません。さらにバンクーバーは緯度が高いので日が沈むのが夜の10時すぎ。つまり仕事を夕方5時に終えても、それからまだまだ5時間以上明るく晴れている訳です。そうなると自然と元気も出て外でテニスをしたり、ランニングをしたり、屋外プールで泳いだり、パティオでご飯を食べたり、とアフター5を充実して満喫できるのです。それに加えて夏のバンクーバーはイベント盛り沢山。花火大会があったり、ジャズフェスティバルがあったり、日系祭りがあったり、国際映画祭があったり、プライドパレードがあったり、と常になんらかのお祭り騒ぎがあってウキウキします(今年はコロナの影響で違うだろうけど・・・)。そんな素晴らしい夏になぜ蒸し暑い日本にいく必要があるのか?と言う心の声に従って今まで夏はバンクーバーで過ごすのだと私は決めていたのです。
これにはもう一つ理由があります。夏は素晴らしいバンクーバーも冬は最悪です(涙)。11月〜3月までほぼ毎日「曇り雨」。ジトジトと鬱陶しい天気が続くのです。おまけに緯度が高いので、夏とは真逆に午後4時にはもう外は真っ暗になります。この季節、朝起きても真っ暗。そして出勤して仕事が終わっても真っ暗・・・一日中真っ暗なの?って思うくらい日射しを見ないで1日が終わることもザラなんです。いや本当、鬱になりますよ。そんな訳で、どうせ休暇を取るのなら、できる限りこの嫌な季節にとってしまおう!とも私は決めているのです。
そんな中、1年間の無給休暇中の私は東京での初「夏休み」を迎えるのですが、もうここ2、3日続く蒸し暑い天気にグッタリしております(笑)。まず体が驚いてる。もともと松本育ちで蒸し風呂への耐性がなかったところにきて、バンクーバーの爽やかサマーに甘やかされた私の繊細な体には、このムシムシはかなりキツイ・・・え?誰ですか?「こんなのまだまだ序の口だよ!」なんて恐ろしい事を言っている人は!
しかし実は私、この東京の夏の10倍上をいく暑さを体験した事があるんですよ。
それはベトナムのハノイで。私は2010年から2年間ベトナムのハノイで国際協力・国際貢献の仕事をしたのですが、ハノイの夏・・・半端じゃない暑さなんです。みなさんベトナムだと南の端に位置していて赤道に近いホーチミン市の方が暑いと思われているんですが、いやいやとんでもない。確かにホーチミンも暑いのですが、しかし湿度という点ではハノイの方が堂々の1位です。おまけにハノイって基本夏場は無風。それに加えて、ハノイの街を走り回る何百万台のモーターバイクがブオンブオンと町中に温室効果ガスを撒き散らすから大変です。排気ガスが充満している蒸し風呂に入っていると想像してみてください。「おえぇ」ってなるでしょ?それ夏のハノイで生活していた時の私でした。毎日吐きそうになります。もちろん私の家にはクーラーありましたよ。でも全然効かないんです、ハイパワーにしても。だから冷風が当たるところに陣取って、扇風機かわりに使っていました。そんな中、同僚のベトナム人達はクーラーなしで生活していたのだから驚きです。「うわ!ちゃんと寝れるの?」と聞いてみると、皆一様に「全然寝れなくて寝不足」とゲッソリした顔で答えるのでした。そりゃそうだ。あんな超熱帯夜でクーラーなしで寝れる訳ないよね。同僚曰く、扇風機はむしろつけない方がいいそうで、なぜかと言うと空気が暑すぎて扇風機が温風ヒーター化してしまうからだそうです。そりゃそうだ(笑)
そんなハノイでの1年目の夏。私は深刻な問題に直面していました。それは、職場にクーラーがないこと。いやクーラーはあるのですが、クーラーがあるのは社長と呼ばれてる零細(?)NPOの団体長であるベトナム人お爺さんの部屋だけで、私たち一般職員が働く事務室には扇風機だけ(それも1台)。みんなこんな暑い中扇風機だけでよく仕事に集中できるな〜と思っていたのです。でもよく見るとみんな汗だく・・・私は暑すぎて意識が遠のきそうです。そんな私の死にそうな顔を見て心配した同僚達は「シンペー暑くない?大丈夫?」と声をかけてくれます。私はすかさず「アジグデ死二ソーダー!!!助けて〜!!!」と絶叫で返します。その叫びを聞いてなぜか嬉しそうに微笑む同僚達。「それは大変だわ。なんとかしないとシンペーのために!」そんな風に言うと私を残して同僚全員何処かに消えました。1時間後みんなが戻ってきます。そして「シンペー!いいニュースがあるわ!社長がシンペーの為にクーラーをこの部屋につけてくれる事になったのよ。良かったわね!」と言うではないですか。あ〜なんて優しい同僚達。こんな零細NPOなのに外国から来た私のためにわざわざ・・・ううう(涙)・・・なんて感動するほど私はお人好しではありませんよ。ふ〜ん、こいつら私を使って欲しかったクーラーを社長に買わせたな!ってのが私の読みです(ハイ!私の心、結構濁ってます・・・暑さのせい?)。でもいいんです、外国人スペシャリストの私をダシに使ってクーラー社長からせびっても。だって私もクーラーないと本当にここでは仕事なんて出来ないのですから!!!そう言う訳で、私がまずベトナムで成し遂げた国際貢献・・・それは事務所にクーラーを取り付けてかわいそうな同僚達を救ってあげた事なのでした(笑)。そして私も救われた。
そんな事をここ最近暑くなってきた東京で思い出しました。あ〜懐かしい。
そしてそんなハノイの暑さを思い出すと、東京の暑さなんて「全然平気だよ!」っと頭では思うものの、でも体は「アジ〜早くクーラーつけろ〜」と条件反射的に指が勝手にエアコンのリモコンを握ってしまうのでした。まだまだ慣れそうもないこの蒸し暑い気候・・・いっその事、北国もしくは南国の蒸し暑くないところにでも行ってのんびりしようかな〜なんて考える今日この頃。なんだ結局逃げるのか〜!と言われそうですが、これも全て私の繊細な体のため。腰痛も悪くなったら困るしね・・・・って全然関係ね〜!?
おわり
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